アメリカの金利芸に平伏せ28.8.12
 平成11年以降、日本の金利は、ゼロ金利政策に雁字搦めにされている。自身で身動きならないのだ。アメリカ様にドヤシ付けられたショックで、「金利が自由に決められる」
と云う当たり前の発想が出来なくなっている。完全な思考停止状態である。

「金利は市場で自由に決められるべき」
「金利は相対で決めていい」
 上記を口にした日にはキ印扱いである。
 日本では以下が自明の前提となっており、新聞テレビ等のマスゴミも、間違っても是非を問うだの、疑義を呈するだのの思考は働かない。御自分のオツムで考えるのが抑々(ソモソモ)間違い、と御幼少の砌より躾けられているのであろう。

「ゼロ金利政策は是非を問うまでもなく、絶対的に正しい」
「ゼロ金利政策の正統性の論拠を問う事はタブーである」


 その点、ゼロ金利を命じた側の宗主国アメリカ様は流石に思考が柔軟であり、現実の金融政策も状況に応じて変幻自在であり、正に「フレキシブル」である。硬直的で紋切り型の日本の財務官僚様方に爪の垢でも煎じて飲ませたい位だ。
 白眉は、1999年にITバブルを起こしたことと、その後の始末と、再び2008年に住宅バブルを引き起こすまでの手綱捌きだ。1994年から徐々に金利を上げて、同年中に3%から5.5%に上げた。明かにITバブルの下準備である。世界中の投資がアメリカに押し寄せ、バブル資金を用意したのである。
 1年の裡に3%から5.5%に上げると言うのはFRBだから出来る芸当であって、日本の金融政策担当者には腰が引けたまま未来永劫叶わぬ所である。1年も2年も掛って0.25%上げるの下げるのと大騒ぎするばかりで、宗主国のお許しが無いと何一つ決められない。
 
  アメリカの政策金利は2000年には6.5%まで上がった。
 その間、日本はどうなのか。1995年から2000年まで政策金利は一貫して0.50%である。桁が間違っている訳ではない。1%の半分の0.5%なのだ。
 此の金利で日本に投資したお利口さんが居たならご尊顔を拝みたい位だ。日本は投資の対象国どころか、完全な資金提供国になっているのが分る。日本人ですら日本に投資しようなどと言う酔狂者はいなかった。如何に「愛国心」溢れる日本人でも、アメリカに資金を供せずにはおれない。ボンド(債券)を買うにしても、米国債を選好せざるを得ないであろう。
  結論から言えば、アメリカの1999年のITバブルはノータリンのジャップの金を巻き上げることで「作られた」ものなのである。
  日本での所謂バブル崩壊の期間は1991年3月から1993年10月までとされている。何故、バブルが崩壊したかと言えば、アメリカからの指示で、総量規制を始めとするハチャメチャな金融政策を採ったからだ。アメリカが世界中から投資を集めてバブルを引き起こす為には、日本のバブルは目障りだったのだ。日本のバブルを潰しておいて、その後にダブ付くであろう投資資金をアメリカが吸い上げる。
  ITバブルは2000年に天井を打った。勿論凡夫の哀しさでピークが過ぎてみないとピークであったことが分らない訳だが、もし人工的に誘導して発生させたものであるなら、ある程度のコントロールは可能なのではなかろうか。2001年に入るや、アメリカはITバブルを見切ったかのように、果敢に金融緩和に打って出た。2000年に6.5%まで上がって世界中の投資を恣にしたアメリカは2001年に入るや1年間で5.5%から1.75%まで政策金利を下げた。景気後退の気配を察知するや、形振り構わず対応に動く。特に金融政策は数字を弄るだけだから対応に躊躇が無い。即決即断。清々しい。

 2002年には1.25%まで下げ、2003年には遂に1.0%にまで下げた。リセッションでなければ、誰もが「只みたいな金利である」「借りなきゃ損」「借りた方が得」だということになろう。
 しかしアメリカは強(シタタ)かだ。バブルが終わるや、リセッションの最中(サナカ)に次のバブルに着手していた。2004年後半から徐々に政策金利を上げ始める。年末には2.25%まで上げる。アメリカユダヤ様の金利芸には舌を巻くの他ない。世界中を大向こうに回して高金利で目一杯投資を釣り上げておいて、超低金利で踏み倒すことを四六時中、お考えになっておいでなのだ。

 他方、日本は1999年に0.15%にしたまま、ピクリとも動かさない。2000年に一度0.25%にしたら、忽ち宗主国の叱責に合い。間もなくして引っ込めた。日本には0.1%を上げる権限も認められていないのが明確になった。ジャップも身に沁みて重々悟ったことであろう。

 アメリカは次なる住宅バブルの仕掛けに2004年に入っており、2005年には着々と進める。金利も4.25%まで上げる。
 同時並行の株価操作も怠りない。一業種一社に絞って、独占的特権を与え、全米第一位企業を政策的に作り出す。全米第一位は即ち世界第一位であり、世界経済をリードする超ビッグカンパニーがアメリカで繁栄を謳歌していると世界中に宣伝し、世界中を洗脳する。それはショーウィンドウの中の飾り物であり、見せ掛けであって構わない。虚像にバベルの塔を重ねて、世界中が投資して呉れれば、それでアメリカの勝利なのだ。
 バブルを膨らませ、米債でも地方債でも企業債でも何でもいい、世界中に債券を買わせ、米企業の株を買わせる。そして膨らませて膨らませて、世界中の金を掻き集めた上で、バブルを弾かせる。即ち、貸付金や投資を合法的に踏み倒すのだ。
  2007年から2008年に掛けてのアメリカ住宅バブルは将にアメリカ金融エリートの絵図通りだ。2006年には金利は5.25%に上がる。但し、この金利の利鞘を投資国に払う気は最初からない。
  本当云うと、2008年9月15日の大手投資銀行リーマン・ブラザーズの倒産はエリート達にとって3カ月ほど早過ぎた。と云うより、真相は此処まで引き延ばすのがやっとだった。しかしエリート仲間は良いとこ売り逃げ仕切っていた。
 勿論、エリートたちは本音では強欲に世界の富を貪り尽くすことを画策していた。腹八分目で医者要らずは、アメリカの諺には無い。

 それでも日本はアメリカユダヤ様に忠勤を励んだ御蔭なのか、2007年には0.25%に0.25%だけ加えることを許されて、1年強、0.50%の期間を与えられた。たぶん、財務官僚様が米国債をせっせと買い込んだ御褒美だったのだろう。それもリーマン社倒産で終わる。2008年末には0.10%とすることを命ぜられ、今日も馬鹿正直に守り続けているのは世人も知る所だ。