4/14 アメリカの金利を上回るな
④ 日本はアメリカの金利を決して上回ってはならない。これはアメリカが日本の政府と財務官僚に強く命令したことである。ミッションを受け日本の忠実な役人達は指令通り履践・執行している。日本の官僚は自国の政治家は腹の中で莫迦にしても、アメリカの命令となると驚くほど従順だ。
 アメリカの金利を上回ってはならない理由は以下にある。
 まず前提事実として、現下のアメリカにとって急務なのは、外国の投資を呼び込んで赤字を埋める必要があることだ。アメリカ国内の喫緊の要請である。現状のアメリカ経済情勢は投資が回収される局面まで考える余裕も既に無くなってる。なるべく袖を引っ張るか、次々に目新しい仕掛けを繰り出すかして投資期間を長引かせて、いよいよ回収されそうになったらドル札をシコタマ刷ってドル札で返そう、位しか思い浮かばない。
 そこで投資を呼び込むための餌はと云うと、高金利と株高なのである。
 株高に付いては手慣れたもの。何時もの要領だ。まず企業は全て業種毎に独占として国内利益を排他的に集約させる、併せて法人税等の税負担や社会保険料負担を、様々な特別法を用いて事実上零にして、さらに高収益体質とさせる。これにより中小企業の累々たる屍と、国民の夥しい犠牲の上に、株価が公開される上場企業のみが高収益となり、高株価の演出を行う事が可能となる。此の「天辺(てっぺん)」だけをショーウィンドウから見せられて、外国と投資家はてっきりアメリカの産業「全体」が高収益にあるものと錯覚してアメリカに投資する。
 問題は高金利。アメリカの本音は国内金利は高めたい。高金利に釣られて外国の投資が呼び込めるから。それと国内の物価高(インフレ)も、ある程度は抑制しないと、生活苦から下層民が暴動を起こしかねない。治安が不安定だと投資も引いてしまう。国内だけに限れば一般論として金利を高めれば、通貨が価値を高め、モノの価格上昇はその分抑制される。尤も現実には6%の物価高(インフレ)が、物価高4%になる程度だが。
 然るに現状は金利を上げると国際世論が煩い。少し上げただけで「景気に水を差すのか」「世界経済の牽引車たるアメリカが景気を減速さすな」とばかり世界中から高金利を批判する声が上る。
 そこで属国日本を相方(あいかた)とする事で、金利自体は低目な儘で、日本に対する「相対的」金利高により金利高の効果と恩恵を「実質」で享受する方法を思い付いたのだ。
 つまり金利そのものは低目でも、日本に対して高金利でさえあれば、外国の投資は「相対的低金利」の経済大国日本を避けて、「相対的金利高」のアメリカに向うことになる。常に日本に対して優位でありさえすれば、長期に渡るほど、外国の投資が呼び込めると共に、日本の富もアメリカの高金利を慕ってアメリカに移転することに気付いたのだ。
 莫大な外国の投資さえ得られれば、アメリカの景気回復、更には景気拡大が演出できる。斯くして世界の評価も、此れだけ外国の投資が集まっている以上、アメリカの景気回復は本物に違いない、アメリカ経済は正常に成長していると、勝手に誤認してくれる。
 肝は、相対的金利差固定策を取る相手国は、①忠実な下僕であること。②経済大国であること、の2点だ。金利安政策を取る国が経済規模が小さかったり、経済的に不安定なら効果が生じない。日本と云う、歴史上も誇り得る経済大国が片棒を担いでくれないと効果が出ないのだ。
 日本という名誉ある大国が、在ろう事か在るまい事か、何と何と、尊厳も矜持もかなぐり捨てて、ポット出の詐欺師の下僕役を自ら務めるから成り立つトリックなのである。