3/5  インフレ金融政策を吹き込んだのは誰か
 阿〇総理とか黒〇総裁とか政府関係者に物価の持続的上昇政策への舵切りを吹き込んだのはだれだろう。ざっと5者が考えられる。
 ① まず財務省の官僚だ。既に見た通り彼等の真の目的は増税であり、増税分を自らが信ずる「国家社会の理想実現」の為に、即ち換言すれば「官僚の為に好き勝手に使う」が為に、その手段として物価上昇を画策し、そのドサクサ紛れで増税を図った。このドサクサ紛れ手法は責任の所在が不明確になることから、体質的に官僚に合っており、伝統的常套的お家芸の域に在り、彼らにとっては手慣れた手口であった。
 まあ、物価が持続的に上昇すれば、少なくとも名目上の税収は増えると踏んだのだろう。また物価が持続的に上昇しても、物価スライドで俸給が上るお役人様は損しないと思ったのだろう。
 ② 次に金融機関も有力なインフレ推進支持者だ。周辺の証券とか保険も入る。
 そもそも彼らは基本的に物価の持続的上昇局面でないと思うように儲けられない職種に属する種族である。金融業従事者は物価の持続的上昇が起こると俄かに生き生きして活動が活発になる先天的インフレ嗜好性生物である。
 物価の持続的下降局面には何をしていいのか自分でも分からなくなる。預金されても実はチートモ嬉しくなかったりする。例えば物価下落率-0.5%の経済環境とすると、100万円預けられて、1年後に預金者に100万円返したとすると、実質では100万円×0.5%=5000円位損した勘定になる。それに、0. 001%位は金利も付けなくてはならなくなるので、正確に云うと5010円損したことになる。だから定期獲得競争なんかに目を血走らせなくていいから、その代わり一旦定期預金させたならインフレになるまで絶対降ろさせるなが暗黙の合い言葉になる。
 反対に2%のインフレにでもなればシメタものだ。「ウチの定期は今なら1.5%ですよ、預けなければ1年後は2%丸々損しますが、ウチに預ければ0.5%の損(=2%-1.5%)で済みますよ」って宣伝出来る。金融機関は最低でも0.5%の利鞘が確実に手に入る。
 銀行というと何やらお堅くて公共性があって堅実公平の如きイメージで受け取られるのが世間相場だが、その金融メカニズムの詰まるところ金利商売・利鞘商売と言うに尽きる。中央銀行からコンマ何%などと言うタダ同然で借りてきたお金を、3%も4%も金利を上乗せして企業に貸し付けたり、個人に至っては住宅ローンで雁字搦めに縛り付けておいて、延々35年も利息を絞り上げるのである。原理は変え様が無く、やってることは100年前と同じだ。流石に100年前は住宅ローンは無かったが。
 利鞘トリックはインフレ局面でこそ派手に展開できるのであって、物価の下降期にあっては預金も流行らなければ、トリックも仕掛けようが無い。仕方無いから通帳からデータを漁って小金を持っている年寄りを捕まえちゃ、手数料だけで何%も取るバカ高い投信売付けたり、デフォルト懸念の新興国株を買わせたりして、手数料稼ぎに走る。まあ、これはこれで美味しい商売ではあるが。銀行さん優秀でいらっしゃるから、我々みたいな爺婆にも為替の説明が出来る自信がお有りなんでしょうよ。
 それにしても、あれだけ定期定期って連呼されていた営業さん、ここ3年位とんとご無沙汰ですねえ。えっ、貧乏人はお呼びじゃなかった。