2/27 大事なのは実質経済成長
 ここで物価高に呻吟苦悶する哀れな貧乏オジさんは妄想する。せめて発泡酒よりビールが飲みたい。吟醸酒なんて贅沢言わんから、せめて飲みたや純米酒、ホーヤレホ。
 そこで遂に貧乏人のオジさん達は、インフレ犠牲者同盟を結成。同盟は暴動を起こして首相官邸と放送局を乗っ取ったとしよう。同盟は首相を引っ張りだして次のように表明させることにした。まず減税を約束させる。手始めに消費税に付いては国民の前で次のように表明させる。
 「消費税は減税します。8%は止めて、4%にします」
 たとえ1%でもいい、5%を 4%にするといっただけで消費は爆発的に拡大する筈だ。遅まきながらでも今から宣言させる。
 次に円については「市場の信任と評価に任します」で良い。
 すると市場からの正当な評価を受けて円高は進む。ドル比で75円以上にはなる。1年以内に70円だ。当然輸入価格は下がり、エネルギー資源も再び安く輸入できて、貿易黒字を回復し、後は堅調に増加を続け経常収支も黒字額の最高を記録し続ける。
 そのうち体力勝負となり、ドルもユーロも元も沈没、円が世界中で最高の信任貨幣となり事実上の基軸通貨扱いだ。その信任の厚き事、宛ら金(ゴールド)の如し。って、其処まで言ったら言い過ぎですけど。
 需給と物価に付いては「世界経済の循環に任す」と云う表明でいい。物価が上昇と下降を繰り返すのは当然の経済現象であって、良いとか悪いとかの話ではない。物価の持続的上昇(=インフレ)だけの経済も有り得ないし、物価の持続的下降(=デフレ)だけの経済も有り得ない。経済は世界規模で循環しており仮にどちらかに偏し過ぎれば必ず揺れ戻しがある。循環のベクトルに対し抗うのは無駄にエネルギーを費やすだけだ。それどころか人為的に抵抗したら手痛いしっぺ返しを喰らってしまう。
 これだけ成り振り構わず葉茶目茶な金融政策を実施して、金融市場に土石流のように円を打(ぶ)ちまけたにも係わらず、デフレ基調が一部に残るということは、本来であれば、未だ3~5年は物価の持続的下降基調となりうべき事が推測できる。無理矢理物価上昇を作出し需要を先喰いするが如き暴挙盲動に出れば、如何なる反動を招くかよくよく覚悟しておくが良い。
 為政者として肝心なのは、物価の持続的上昇局面にあろうが下降局面にあろうが、実質経済成長を果たすことである。上昇期か下降期かに対応して國の実質経済成長を達成しなくてはならない。従って表明は「物価の持続的な下降基調の中で実質経済成長2~3%を確保する」でいい。現実には此れ以外の解答は有り得ない。
 例えば物価上昇率3%下で、名目経済成長2%なら、実質では1%の経済縮小だ。-1%(マイナス1%=2%-3%)の実体なのだ。これだと失政だ。
 それよりも物価上昇率-1%(=物価下落率1%)、名目経済成長0.5%の方がナンボか良い経済環境か。実質経済成長は1.5%(0.5%--1%=+1.5%)にもなるのであって、為政者は使命を果たしたことになる。OK合格。
 かくしてインフレは終熄し、物価は安定化し、全ては1年前の値段に戻る。ガソリンがリッターで152円が129円となり、灯油はリッターで99円が49円となり、葱1本が155円から85円になる。インフレ犠牲者同盟の下っ端党員の私も、久々に発泡酒から缶ビールに格上げして、立ち飲みやの隅でささやかに一杯やる。摘まみは葱焼き。・・・・