2/25 不思議な光景
 この善政の定義に照らすとき我々は或る不思議な光景に出喰わす。
 現内閣は真正面切って、①増税すると決議し増税し、②2%のインフレにすると宣言して目一杯どころか破茶目茶な金融政策を発動して物価上昇を人為的に図ったのだ。
 インフレとは単純に「持続的な物価上昇」のことだ。昨日までリッター129円だったガソリンが今日は152円となり、昨日までリッター55円だった灯油が今日は99円となり、昨日まで85円だった葱1本が今日は155円となり、更に物価上昇が持続する経済状態を云う。要は物価高だ。
 裏から言えば「貨幣の持続的な価値下落」だ。昨日は78円あれば1日生活出来たのに、今日は110円ないと1日過ごせないと云う状況だ。貨幣価値が持続的に下落するので、持続的に貨幣を積み増ししないと同じレベルの生活すら出来ない。この経済環境に能く耐えられるのは蓋し収入(給与)が持続的に上昇する状況だけだろう。しかし高度成長期は既に伝説の世界だ。
 インフレなどと言われるから何か御大層に受け取って勝手に有難たがるが、日本語で「物価高」と言った方が余程意味が通ずる。カタカナ外来語は欧米崇拝者に虚仮威(こけおど)しを咬(かま)したり、無い物を有る様に見せ掛ける張ったりには適するが、素直な理解や実体の直裁の把握の妨げになる。
 それにしても不思議なのは①増税と②物価上昇の両方を招いた政権が未だ続いていることだ。前の民〇党政権が余りに酷すぎた反動もあろうことは想像に難くない。しかし増税した政権は例外なしに半年以内に倒れているという過去のデータ・経験則があって、この原理から言えば役者が替わっていても奇怪しくない所だ。大平正芳氏・中曽根康弘氏・竹下登氏・細川護煕氏・村山富市氏・橋本龍太郎氏・菅直人氏・野田佳彦氏・・・全て消費税新設(若しくは消費税紛いの税新設)消費税増税が内閣又は本人の命取りになっている。辞任や解散の実質的な引金となったのは税の増加の表明か実施だ。
 逆に増税さえしなければ内政は手付かずで外交は国辱土下座でも延命できるのだ。例えば鳩山由紀夫大先生は「消費税率は4年間上げない」との公約を掲げられた。民主党が総選挙で勝利し鳩山先生が2年近く総理の座にあったのは、この「増税しない」「外交しない」とのプレゼンテーションが大きく与っている。我々庶民大衆にとって、お上が「何もしない(し、増税もしない)」と云う事程、有り難い事は無い。いっその事、官僚の言う事が理解できない位に蒙昧暗愚で、結果的に「何もせず」にいて、役人支配の防波堤になってくれたら、此れ程、有り難い事はない。それこそ政治家先生を伏して仰ぎたい。
 政治家大先生様が傍若無人厚顔無恥なのは先刻承知。誰も教養だの見識だの、斯かる木に拠りて水を求むが如き時代錯誤は求めていない。公式の場で失言しようが放言しようが放屁しようが人畜無害万事オーケー赦します。外国に舐められようが虚仮にされようが嬲られようが基より国民は平気の平左衛門。金塊を溜め込もうが秘書を孕ませようが、途に角「何もしない」でいてさえくれたら、神棚にでも神殿にでも祀りますから。
 いえ政治家大先生様、きっと時代劇に有る様にホントは聖賢だけど世を忍ぶ借りの姿、外国の間者を欺くため徹底してアホを演じておられるのでしょうから。