2/17 「国の借金」のトリッキー
 確かに「國の借金」と云う言い方は、満更嘘とは言い切れないところがある。
 だが、この言い方が通るなら銀行預金は「銀行の借金」で、養老保険は「郵便局の借金」で、貯蓄性生命保険は「保険会社の借金」になる。
 預金者は債権者で、お金を預った銀行は返還義務を負う債務者だが、しかし、だれも銀行が国民に対し返還債務(つまり借金)を負うことが問題だなどと思わないだろう。一括払いの養老保険や学資保険を郵便局に預けても、返還義務を負う郵便局(すいません郵貯銀行でしたっけ)に視点を置いて「郵貯銀行の借金」などと云う言い方は世人はしないのではないのか。保険料を何百億・何千億と掻き集めた保険会社をして「膨大な借金(返還債務)を抱えた」会社、などと言う人は果たして居るものだろうか。
 あくまで債権者側から権利関係を認識するのが普通だ。預金者から見て預金債権、保険契約者から見て養老保険金債権・学資保険金債権・貯蓄性生命保険金債権である。
 何となれば、お金を持っている側が主体となって投資行為を選択できるのであって、銀行に預けるか養老保険を買うか国庫債券を買うかした、その主体の投資行動を経済的に評価するのが正常な認識の仕方だからだ。
 よって国庫債券に基づく国民の債権であり、國の借金(債務)とは言わない。