2/11 アメリカはドルの価値下落を望まず
 確かにアメリカはインフレ政策を実行して来た。延々と、此処30年は意図的なインフレ政策の痕跡を残している。確信犯、前科100犯の正真正銘の確信行為者だ。
 そのため、結果としてドルは価値を落した。単純に円との比較ですら、360円が78円になったのだ。4分の1以下になった。
 しかしドルの価値下落は結果の当然の現象であって、アメリカ自身は決してドルの価値下落を望んでいない。現にレーガンの時代は、かなり無理して高金利政策を続け、ドル高を誘導していた。そう言えば、当時の日本の大蔵省でも通産省でも中〇根総理も、レーガンに言われるままにアメリカ国債をせっせこ買い込んでいましたっけ。あれだけアメリカ国債を買って円を売れば、そりゃドルも下がりませんて。それにしてもお役人様はアメリカだけにはいい顔を見せたがる。
 アメリカはドルで買物するのであるから、買物をする時点でのドルの価値は高いが良いに決まっている。ドルが高くないと石油も満足に買えなくなってしまう。石油が買えなけりゃ、アメリカでは自動車も走らず電気も通らず、機能不全で死んでしまう。
 仮にアメリカの支配者層に位置する人で、儲けも無しにドルの価値を棄損しようとしたりしたら、間違いなく、そ奴はエスタブリッシュメントに消される。利害でがっちりスクラム組んだアメリカエスタブリッシュメントは、斯かる不心得者の存在を断じて許さない。ドルを売る際は、その時その時で1セントでも目一杯釣り上げられねばならない。 
 当時のアメリカはこうだった。
 自動車でも半導体でも日本は勝手に作るが良い、アメリカの工業力が落ちたのなら、せいぜい日本に上手に作らせといて、ドル札で買い上げれば良いだけの事だ。ドル札なんぞ輪転機を回せばいくらでも刷れる。ドル札で世界中の物資を買い捲くって、世界中の富をアメリカに集めれば良いだけの話だ。
 世界中の富がアメリカに集まれば、それだけアメリカの価値が高まる。アメリカの文化的経済的価値が高まれば、現実のアメリカに保証されてドルの価値も高まる筈だ。高まったドルで再び石油でも何でも買い捲くる。世界中の富がアメリカに集まる・・・・。永久機関の完成だ。