12/4 不動産取得税の恐怖
 不動産取得税は、不動産を取得した人に「その不動産の所在する都道府県」が課す税金(道府県税)である。
 不動産の移転という事実に着目して課されるものである。不動産の取得に対する利益に着目して課されるものではない。従って1 日でも所有権を取得した場合でも課税の対象となるほか、所有権の移転を伴う契約が合意により解除された場合においても移転の事実がある限り課税がなされる。
 等々の説明がすらっと書かれているだけだが、不動産取得税は恐ろしい。

1.まず高額であることだ。固定資産評価額を基準に、その4%が税金でくる。
 土地は現在、評価額の1/2 に対し課税されているが、特例だから何時また変更されるか分かったものではない。
 現行でさえ、仮に1/2 ×4%で2%としても、100万円の評価額に対し2万円、1000万円なら20万円ということだ。 
 課税する何の理論的根拠があると言うのか。不動産を取得するに際し県が何の貢献をしたと言うのか。県道を通して地価を上げてやったとでもいうのか。しかし道路の税金はガソリン税か何かで既に取られているだろう。是非、県から理論的根拠が聞きたい。但し財源不足云々なら聞かなくていいです。

 だいたい土地が二束三文の値段だった昭和25年に施行された法律ではないのか。当時は敗戦間もなくであり、税収も不安定だったのは分かる。しかし未だに引きずる必然性がどこにあると言うのか。
 外国で課税しているところなどないだろう。ネットを見るとフランスで公証人に払う登記税、県税、市税、その他もろもろの費用の一部に含まれているというようなことが書かれている。パリ自体が城壁で囲まれ厳しく居住を規制された観光都市だから、分からなくもない気がするが、それでも一切合切手数料も含んで全部で7%程度と書いてある。
 不動産取得税に限らず日本の役所は何でもかんでも税金をボリ過ぎだ。戦前みたいに巨大な陸軍や海軍の軍隊や軍艦を抱えている訳ではあるまい。使い道がないものだから、役人の退職金や恩給の上積みや、研修名目の海外旅行や、天下り先の報酬に湯水の如く使っているのだ。だったら、ちゃんと核開発や原潜やジェット戦闘機の開発に金を使え、と言いたい。

2.次に忘れた頃に来ると言うことだ。取引も無事終って、すっかり安心しきったのを狙ったかのように、3ヶ月過ぎ、4ケ月近く経ってから、唐突に来る。その時のショックたるや、初体験者には、かなり強烈な筈だ。忘れ掛けて安心したところに請求を掛けるというのは、すぐれてヤクザの手口だ。心理戦術としては効果覿面だろう。

3.怖いのは、何かの手違いで間違って登記して、取り消した場合だ。人間だ、本当に間違って登記するということもあり得るだろう。
 しかし一旦登記簿に名前が載ったが最後、上記解説の如く、たとえ1日だろうと100%取得税が来る。
 登記に名前が載った以上、「錯誤」で消そうが、「取消」で消そうが、取得税は逃れられない。公簿に載った以上、逃げられっこ無いと役所は舌なめずりして控えている。
 友人の司法書士のM.T.君も不動産屋に泣きつかれて、「司法書士のパカが間違えて登記しました」なる上申書を書いてやったそうだが、県税にはどうやら通じないようであった。

4.昔は中間省略登記した場合、途中の登記名義を抜いた者が業者であった場合、その業者にも取得税が来たとかの話を聞いたことがある。それで来ないと思っていた不動産取得税がどかっと来て、何処かの不動産会社がおかしくなったとの噂があったが。今は課税されるのだろうか。

5.たまに県税が間違って売主に通知を出す事がある。私も今年経験した。何で売った私に請求が来たのか分からず悶々と1週間悩んだ。中間省略登記をした訳でも無し、ひょっとして税制でも変わったのかと。それで恐る恐る県税に電話して聞いてみた。

 30分後位に返事の電話が来た。「売主に支払義務はないので破棄して下さい」でガチャリで終わりだ。すいませんの一言もない。税金の納付書を送られたか気の弱い国民が、どれだけショックを受けて、心理的葛藤に悩んだか、想像外らしい。 

 因みに、不動産取得税の消滅時効の期間は5 年である。