古民家の間取りには縁側はあるが、室内に廊下らしい廊下が見当たらない。
部屋を通らないと別の部屋に行けないのだ。廊下で部屋と部屋が切り離されることが無い。分離した部屋がないのだ。必ず隣か両角か両脇で、他の部屋と続いている。
大きな部屋が一つ合って、中が4つとか6つとかに仕切されているイメージだ。
廊下を死に部屋と考えれば、空間全部が部屋として使える訳であり実に合理的だ。
それと1つの仕切された部屋が、ある時は居間、ある時は食事所、ある時は勉強部屋、ある時は寝室というのも、発想が斬新だ。居間で一家団欒もいいが、時間にしたら使用時間は2~3時間か。
用が無くなれば寝室に早変わり。部屋を用途で決めつけず、部屋に縛られない自在な生活様式ではないか。

「民家の間取りの変遷
 古い民家の間取りで特徴的なのは、済むための居住部分と作業をするための土間の大きく二つのエリアから成り立っていることです。
 年度に石灰、にがりと水を混ぜ、叩き固めて作られた土間は、農作業などの屋内作業場や牛、馬などの飼育場として使われていました。また、炊事場としても使用されていたため、かまどや流しなどの設備も設けられていました。 
 民家の間取りで最も単純な造りは土間に床のある居住空間が一室だけある一間取りです。時代と共に建物の規模が大きくなり、生活の様式が複雑化するに伴って、二間取り、三間取り、四間取り、五間取りト部屋数も増えていきました。中でも代表的な間取りは四間間取り、いわゆる田の字型と呼ばれるものです。文字通り、四つの部屋が田の字型に並んでいる間取りですが、必ずしも整った田の字のかたちをしているとは限らず、間仕切りがくいちがったものも少なく有りません。「古民家再生住宅のすすめ」宇井洋先生著」