建築家との相性というのは大事なことらしい。尤も私自身は建築家に設計を頼んだ経験がない。宮大工の棟梁に家全部の立替を頼ん経験があるだけだ。頼んだら知らないうちに出来ていたと言うのが実感だ。平成3年に2階を増築し、その後平成10年に基礎と柱の一部だけを残し全部建て替えた。平成11年に和室と別棟の物置を増築した。信じてもらえないだろうが、和室1室と物置で700万以上かかった。出来上がった家には以前の面影はほとんど無い。外から見ると2階半と言うか、3階弱位ある。瓦も隙がない。私自身は200%満足している。
 その間、私は一度も図面も見たことも無いし、打合せらしきこともしていない。
 ただ母が、その都度希望を棟梁に口頭で伝えていた様だ。
 建築家と、とことん話し合って自分の希望を反映させて貰うと言うのは、家造りには有るべきことだ。設計料にしても200~300万では効かないだろうし。
 しかし当時の私には出来なかった。建築家と4回・5回と打合せするなど、気が遠くなる話で私には出来ないと思った。根が安直だし、私なら出来合いの建て売りを買うか、自分で中古物件を見回って買うかのどちらかだろう。

「古民家向きの建築家は居るのか
 厳密に言えば、築100年以上の古い民家の建て方は伝統構法と呼ばれ、在来軸組み構法とは異なります。その特徴は今日の住宅には欠かせない筋交いと金物などを使用していないことです。筋交いの代わりに貫を使っているため貫構法とも呼ばれています。しかし、必ずしも貫構法に詳しい建築家でなくとも古民家の移築は可能です。中途半端な古民家移築の経験者よりも、木造軸組構法の経験をよく積んでいる人の方が適任とも言えます。そして何よりも、家造りに情熱を持っているかどうか。それが一番大切な建築家の資質といえます。」「古民家再生住宅のすすめ」宇井洋先生著より」