★ 作品紹介

肥沃な土地に恵まれた豊かな国、アースワールド。しかし、王のデュケイン三世は身内のみならず、家臣の妻まで手籠めにする色欲にまみれた暴君だった。

治世を疎かにし、国土は荒れ果て、不満は高まり遂に全国民が反旗を翻す。

激しい交戦の末、城は陥落。デュケイン三世を始め、王妃セシル、そして皇太子イーサンと、王族はことごとく討ち取られた。

反乱を主導した「ケイドン」がアースワールドの新国王となり、そして、戦場を縦横無尽に駆け巡り、ケイドンを守り抜いた英雄・「イーライ」は一介の平民騎士であったが、その功績から公爵の位を授けられる。

しかしその戦歴は不敗を誇り、敵とあれば老若男女問わず全てを手にかけ、冷徹非道として敵味方双方から恐れられた。

そんなイーライの妻にと、ウィリアム子爵の娘・アナに王命が下る。

平民出身の貴族になど嫁ぎたくないと激しく嫌がるアナに、見かねた父はその場にいた召使いの「エドナ」にアナの身代わりとしてイーライと結婚せよと命じる。

身代わりがバレたら命の保障はない死地へとエドナは赴くことに。

しかし、イーライはアナの顔を知っていた為、早々にバレてしまうが、イーライはエドナの覚悟を決めた毅然とした態度を気に入り、エドナと結婚することを決める。

エドナと行動を共にするようになったイーライはエドナの時折見せる気位の高さ、身のこなし、迫力に只の娘ではないと感づき、自分の領内の荒れ果てた街を、エドナの好きにして良いと語り、エドナを試すことに。

思いがけず自由に出来る権限を与えられたエドナは、自身の生い立ちからくる罪の償いと、街の復興を誓う。


★ 感想

冷徹非道と噂されるイーライ。噂どおり野蛮なところはあるものの、なんだかんだエドナを気遣ったりと優しさも垣間見え、意外に良いところに嫁いだんじゃないか? と思わせるギャップ萌えの男。

一方エドナは重すぎる宿命に生きる娘。地獄のような環境のウィリアム子爵邸から抜け出し、幸か不幸かイーライの妻に。

その激しい生い立ちから、自分の幸せよりも罪を償う方へ、かなりベクトルが向いている薄幸な娘ですが、その優しさと懸命さから、償いよりも幸せになってと願わずにはいられない😭

ハッピーエンドを祈りながら、先が気になる一作。