☆花屋亀吉の小さな旅の物語り☆
~亀吉、Qちゃんを応援する!編~
亀吉、今日も朝から、そわそわ落ち着かない。
いつもより早く起きて、玄関を出たり入ったりを繰り返してる。
居間からお母さんが
「亀吉、何やってんの?早くごはん食べなさい!」
の声がする。
実は今日は亀吉がずっと待っていた大切な日なのだった。
あの国民的マラソンランナーのQちゃんが、北京オリンピックの出場権をかけて最後の選考レ-スに出る日なのだ。
何日か前にテレビでQちゃんの特集をやっていて、亀吉は心を打たれながらそれを見ていた。
中国の高地を毎日70キロ走り続けるQちゃん、、、
アテネの金メダル、
そして当時の世界新記録と栄光の頂点にいたQちゃん、
その後、故障が続き、長い間低迷が続いていた。。
でも、どうしていつもあんなに明るく気丈でいられるのか?と思うほどいつも彼女は誰に対しても向日葵のような笑顔を振り撒いていた。
トレーニング中の彼女の背中には
『夢はかなうもの』
と書かれていた。
「誰でも、どんな人でも、夢はかなう、と念じ続ければ必ず叶うことを、私の走りで見せたいのです、だから、走るのです、そして私を応援してくれている沢山の人のために走ります」
と力強く話していた。
うっすらと笑顔の影に隠れた涙が滲んでいるような気が亀吉にはその時した。
亀吉もまた、追うものがある、、
「Qちゃん、勝って!」
とまるで思いを重ねるように心の中で祈った。
そしてこれから、そのレ-スがいよいよスタートする。
昨日用意した、日の丸の小旗二本、甲羅と首の間に差し込んで、いざ、沿道へと繰り出すことにした。
日本中の期待を集めているのだろうか?どこもかしこも、人だかりで、全く何も見ることができないほどに人だかり、、
前に出ようとすると、甲羅を踏み潰されそうになり、慌てて、後ずさりの亀吉、、
早々に生観戦をあきらめて、慌てて家に帰りテレビを見ることにした。
息をせききって家にたどり着く、、
やっとの思いで、テレビの前に座り、かじりつくように観戦する。
先頭集団を走るQちゃん、力強く見える
「頑張れ!頑張って!」
亀吉は部屋の中で旗を振る。
一団は10キロ手前に差し掛かる。もう少しで最初の給水場所かな?と思う亀吉。
と、その時だった
「!!!?」
亀吉の前に飛び込んできた映像は言葉すら失うものだった、、、
Qちゃんが遅れ始めたのだ、、、
「えっ?!なんで!?Qちゃん、どうしたの?」
亀吉は走るQちゃんに問い掛けるように呟く、、、
でもQちゃんは苦しそうにもがきながら、徐々に順位を下げていく、、、
どんどん先行集団から離れていく、、
苦しそうだ、辛そうだ、、何が起きたのか?
亀吉の頭をいろんな思いが交錯する、、、
「やっぱり、夢なんか叶わないものなんだ、、あのQちゃんですら、、、」
テレビは苦悶の走りを続けるQちゃんを捉える。
「Qちゃん、、もう、走るのを止めて、充分僕たちに気持ちは伝わったから、、調子が悪くて苦しいのでしょ?日本中の期待を背負わせてしまってゴメンね、もう、走らないでいいから、、歩いて、歩いて、、Qちゃん、、ありがとう、、」
亀吉は心の中で何度もそう叫んでいた、、
しかし、Qちゃんは、走ることを止めなかった、最後まで、ありったけの力をを振り絞って走りきった。
ゴ-ルを過ぎたとき、Qちゃんは四方へ深々と頭を下げて、観客へ御礼の挨拶をした。
どんなに悔しく、辛いことなのか、亀吉には想像すらできないほどの事だろう。
レポーターの呼びかけにも、笑いながら
「これが、今の私の実力です。」
と胸を張って答えていた。
茫然と、その光景を見ている亀吉。
しかし、そんな敗者であっても国民的期待を集めたヒロインにはそのまま退場することは許されない。
すぐにまた記者会見が行われた。
「なんで?そんなひどいことを、、なんて残酷なことをするの?この国の人達は?なんでそっとしておいてあげないの?」
亀吉は悲しくなった。
Qちゃんの会見が始まった、、
次々にとぶ質問の嵐、でもその全てにQちゃんは胸を張って、明るく気丈に答えていった。
その姿勢は爽やかでさえあった。
本当は物凄く落ち込んでいるはずなのに、、。
Qちゃんが、言った
「実は私は、去年、膝の半月板の手術をしました、隠していましたが、ずっとリハビリを続けながら、トレーニングにあたりました。なんとか一日70キロの距離を走りきるところまではこぎつけましたが、スピードトレーニングは二日しかできませんでした。それでも、それでも、私は走りたかったのです。夢はかなうもの、と私は私の背中に書きましたが、それを勝つ、負ける、の結果だけではなく、今の私がこのレ-スを走り切ることで証明したかったのです。本当は本来の走りが出来て勝つことができればもっと良かったのですが、身体が動いてくれませんでした、、ごめんなさい、、。そして、みなさん、この結果を見て、私は引退をすると思われるでしょうが、、すいません、、もうしばらく私に、走らさせてください、、私にはやり残したことがありますから、、、」
亀吉はここまでインタビューを聞いて、自分がいかに小さいかを思い知った。
亀吉の目には涙が一杯に溢れて目の前が滲んで見えなくなった、、
高橋尚子、、
やはり、半端なランナーではなかった。
これまでも数多くのレ-スで僕たちに夢や希望を与え続けてくれたけど、そのどのレ-スよりも、今日のこのレ-スが僕たちに与えてくれたものが大きかったんだと亀吉には思えた、、、
負けてもなお、これだけの事を伝えられるQちゃんの存在は亀吉の中で浚に大きく刻みこまれていった、、、。
こうして亀吉の人生の旅もまだまだ続く。。。
亀吉、今日も朝から、そわそわ落ち着かない。
いつもより早く起きて、玄関を出たり入ったりを繰り返してる。
居間からお母さんが
「亀吉、何やってんの?早くごはん食べなさい!」
の声がする。
実は今日は亀吉がずっと待っていた大切な日なのだった。
あの国民的マラソンランナーのQちゃんが、北京オリンピックの出場権をかけて最後の選考レ-スに出る日なのだ。
何日か前にテレビでQちゃんの特集をやっていて、亀吉は心を打たれながらそれを見ていた。
中国の高地を毎日70キロ走り続けるQちゃん、、、
アテネの金メダル、
そして当時の世界新記録と栄光の頂点にいたQちゃん、
その後、故障が続き、長い間低迷が続いていた。。
でも、どうしていつもあんなに明るく気丈でいられるのか?と思うほどいつも彼女は誰に対しても向日葵のような笑顔を振り撒いていた。
トレーニング中の彼女の背中には
『夢はかなうもの』
と書かれていた。
「誰でも、どんな人でも、夢はかなう、と念じ続ければ必ず叶うことを、私の走りで見せたいのです、だから、走るのです、そして私を応援してくれている沢山の人のために走ります」
と力強く話していた。
うっすらと笑顔の影に隠れた涙が滲んでいるような気が亀吉にはその時した。
亀吉もまた、追うものがある、、
「Qちゃん、勝って!」
とまるで思いを重ねるように心の中で祈った。
そしてこれから、そのレ-スがいよいよスタートする。
昨日用意した、日の丸の小旗二本、甲羅と首の間に差し込んで、いざ、沿道へと繰り出すことにした。
日本中の期待を集めているのだろうか?どこもかしこも、人だかりで、全く何も見ることができないほどに人だかり、、
前に出ようとすると、甲羅を踏み潰されそうになり、慌てて、後ずさりの亀吉、、
早々に生観戦をあきらめて、慌てて家に帰りテレビを見ることにした。
息をせききって家にたどり着く、、
やっとの思いで、テレビの前に座り、かじりつくように観戦する。
先頭集団を走るQちゃん、力強く見える
「頑張れ!頑張って!」
亀吉は部屋の中で旗を振る。
一団は10キロ手前に差し掛かる。もう少しで最初の給水場所かな?と思う亀吉。
と、その時だった
「!!!?」
亀吉の前に飛び込んできた映像は言葉すら失うものだった、、、
Qちゃんが遅れ始めたのだ、、、
「えっ?!なんで!?Qちゃん、どうしたの?」
亀吉は走るQちゃんに問い掛けるように呟く、、、
でもQちゃんは苦しそうにもがきながら、徐々に順位を下げていく、、、
どんどん先行集団から離れていく、、
苦しそうだ、辛そうだ、、何が起きたのか?
亀吉の頭をいろんな思いが交錯する、、、
「やっぱり、夢なんか叶わないものなんだ、、あのQちゃんですら、、、」
テレビは苦悶の走りを続けるQちゃんを捉える。
「Qちゃん、、もう、走るのを止めて、充分僕たちに気持ちは伝わったから、、調子が悪くて苦しいのでしょ?日本中の期待を背負わせてしまってゴメンね、もう、走らないでいいから、、歩いて、歩いて、、Qちゃん、、ありがとう、、」
亀吉は心の中で何度もそう叫んでいた、、
しかし、Qちゃんは、走ることを止めなかった、最後まで、ありったけの力をを振り絞って走りきった。
ゴ-ルを過ぎたとき、Qちゃんは四方へ深々と頭を下げて、観客へ御礼の挨拶をした。
どんなに悔しく、辛いことなのか、亀吉には想像すらできないほどの事だろう。
レポーターの呼びかけにも、笑いながら
「これが、今の私の実力です。」
と胸を張って答えていた。
茫然と、その光景を見ている亀吉。
しかし、そんな敗者であっても国民的期待を集めたヒロインにはそのまま退場することは許されない。
すぐにまた記者会見が行われた。
「なんで?そんなひどいことを、、なんて残酷なことをするの?この国の人達は?なんでそっとしておいてあげないの?」
亀吉は悲しくなった。
Qちゃんの会見が始まった、、
次々にとぶ質問の嵐、でもその全てにQちゃんは胸を張って、明るく気丈に答えていった。
その姿勢は爽やかでさえあった。
本当は物凄く落ち込んでいるはずなのに、、。
Qちゃんが、言った
「実は私は、去年、膝の半月板の手術をしました、隠していましたが、ずっとリハビリを続けながら、トレーニングにあたりました。なんとか一日70キロの距離を走りきるところまではこぎつけましたが、スピードトレーニングは二日しかできませんでした。それでも、それでも、私は走りたかったのです。夢はかなうもの、と私は私の背中に書きましたが、それを勝つ、負ける、の結果だけではなく、今の私がこのレ-スを走り切ることで証明したかったのです。本当は本来の走りが出来て勝つことができればもっと良かったのですが、身体が動いてくれませんでした、、ごめんなさい、、。そして、みなさん、この結果を見て、私は引退をすると思われるでしょうが、、すいません、、もうしばらく私に、走らさせてください、、私にはやり残したことがありますから、、、」
亀吉はここまでインタビューを聞いて、自分がいかに小さいかを思い知った。
亀吉の目には涙が一杯に溢れて目の前が滲んで見えなくなった、、
高橋尚子、、
やはり、半端なランナーではなかった。
これまでも数多くのレ-スで僕たちに夢や希望を与え続けてくれたけど、そのどのレ-スよりも、今日のこのレ-スが僕たちに与えてくれたものが大きかったんだと亀吉には思えた、、、
負けてもなお、これだけの事を伝えられるQちゃんの存在は亀吉の中で浚に大きく刻みこまれていった、、、。
こうして亀吉の人生の旅もまだまだ続く。。。