6/17(土)に公開された清水崇監督の最新作「こどもつかい」、さっそく観てきました。爆  笑

 

 

 

● 「こどもつかい」公式Webサイト

 

下矢印 この先「ネタばれ」あり。注意

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 久々の清水崇監督作品という事で、ガチガチの「Jホラー作品」を期待される方も多いかと思いますが、私の感想は、ホラーテイストのファンタジー、「ダークなおとぎ話」という印象です。照れ

 主演俳優が「ジャニーズ事務所」の先輩後輩の二人という事もあって、中学生、高校生くらいの年齢の女子が大勢観に来ていました。上映終了後に聞こえてきた彼女たちの感想は「あんまり怖くなかったねぇ。」(良い意味で)でしたので、女性にも楽しんでもらえるレベルのホラーだと思います。OK

 

 主演の「滝沢秀明さん(タッキー)」が演じる「こどもつかい」が何者なのかは、物語の冒頭でこどもつかいが子供(瑠奈)を連れ去るシーンで「…ハーメルンの笛吹き男…?」びっくりと、なんとなく解かります。

 主人公、「原田尚美(門脇 麦さん)」が、「笠原蓮(中野遥斗くん)」に絵本を読み聞かせるシーンで読んでいた本が「ハーメルンの笛吹き男」だったので、「こどもつかい=笛吹き男」というイメージならタッキーの衣装とメイクにも納得。ニコニコ

 パンフレットにも「ブラジリィー・アン・山田さん」のプロットを呼んだ清水監督も「ハーメルンの笛吹き男」をイメージされたとあるので、「呪怨の清水崇監督…。」としてスティーブン・キング作、フリッツ・カーシュ監督「チルドレン・オブ・ザ・コーン(Children of the Corn )」をイメージさせる「白目の子供たち(幽霊?)」を前面に押し出したCMや予告編を観て劇場へ観に来られた方は、「ぜんぜん怖くない…。もやもや「ホラーじゃねぇじゃん!ムカムカとガッカリブーして帰られるのではないかと思います。えーん

 

 私は、物語り冒頭の「瑠奈ちゃん行方不明」の場面で「こどもつかい=ハーメルンの笛吹き男」をイメージできたので、すぐに「これはホラーじゃないな、ダークなメルヘン、ファンタジーやで…。」と理解。清水崇監督の「ダーク・ファンタジー作品」として、新しい感覚で楽しめました。爆  笑OK

 

柴田絵理奈、瑠奈親子が暮らす団地=足柄市上渋垂団地

 

撮影に使われたのが何号棟かは、まだ特定できていません。

 

 ジャニーズのタッキー=二枚目俳優が「白塗り」のメイクにおどけた演技…?これは?「パイレーツ・オブ・カリビアン」「ジャック・スパロウ(ジョニー・デップさん)」を意識しているのか?と思わせる演出。笑い泣き

 子供を怖がらせる「殺人鬼」「モンスター」という存在ではなく、子供に好かれる存在でなければならない「こどもつかい」なので、見た目のダークな印象とは正反対の「ひょうきんなキャラクター」である必要もあったのだろうと思います。OK

 しかし、そのメイクとおどけ方がどうしても「ROLLY(旧名ローリー・寺西)さん」とかぶってしまって、「この役はローリーの方が良かったのでは…。」と思いながら観賞しました。爆  笑

 

● ROLLY(旧名ローリー・寺西)公式Webサイト

 

 

 物語りは、そのタッキー演じる「こどもつかい」が巻き起こす怪死事件と、その事件に巻き込まれる二人の主人公(原田尚美=門脇麦さん、江崎駿也=有岡大貴さん)が謎の解明に奔走するというJホラーの王道展開。グラサン

 

主人公、原田尚美が保育士として勤める「あげは保育園」

 

実際の名称は「わかば保育園」

 

 尚美の先輩保育士として登場するのが、小松洋子役「西田尚美さん」。レオタード姿で現れて、「こどもつかい?それについては、カッツ・アイ!」((NHK、LIFEより)とか言ってくれるのではないかと期待しましたが、当然、そんなシーンはありません。「尚美の先輩が、尚美って…。」と思いながら観ました。爆  笑

 

 

 江崎駿也役「有岡大貴さん」は、事件の取材をする記者として登場し、女子高生たちが語る都市伝説「トミーの呪い」を知ります。!?(最近、「トミー」という名前を聞くと、13日の金曜日の「トミー・ジャービス」を連想してしまう…。)

 そして、幼馴染、近藤(尾上寛之さん)が店長を務めるリサイクルショップで、そのトミーの呪いに触れてしまいます。ドクロ

 

「こどもつかい」との対決シーンも撮影された「EKITA 前橋」

 

「食の駅」という看板は、CGで「EKITA」に変えられたようです。

 

 

 駿也が、物語の冒頭で柴田絵理奈(玄理さん)が「こどもつかい」に殺されてしまい、養護施設で暮らすことになった娘の瑠奈を取材する過程で聞いた瑠奈が口ずさむ「謎の歌=呪いの歌」を、なぜか尚美も知っていた…。という辺りから、尚美の幼児虐待の経験と事件のつながりが見えはじめ、「呪いの歌」の歌詞から「上之郷サーカス」というキーワードを見つけ、謎解きに向けて大きく舞台転換。

 

 CMや予告編では、あの「呪いの歌」で人が殺されるように見えましたが、実際は、事件と尚美の記憶と60年前火災(トミーの呪い)の謎を解くヒントでした。!

 

瑠奈が保護された養護施設=田園児童館

 

 

 

 謎を解明して行く過程で、尚美の過去(児童虐待の経験)と、60年前の「上之郷サーカス火災」で亡くなった子供たち(サーカスの人気者トミーの小児性愛)とが結びつき、「こどもつかい」の正体と、なぜ「悪い親を殺すのか」が明かされます。

 なお、事件の謎を解くきっかけになるキーマンは、主人公が訪れた「上之郷」で出会った「上之郷勝夫(吉澤建さん=残穢の奥山家当主)」です。

 

 

トミーの足跡を追ってたどり着いた廃病院=旧湊海軍病院

 

 勝夫との出会いから「上之郷サーカス」と、そのサーカスで起きた「火災」が「こどもつかい」を生み出す原因だったと明らかになると、「こどもつかい」は必ずしも悪い存在(殺人鬼、悪魔)ではなく、「信じていた人間(トミー)に裏切られた悲しい道化師人形」だったという事が判明。

 「こどもつかい」は、「リング」の「貞子」のように「自分の苦しみを他人にも味合わせよう」として人を呪うバケモノや、「エルム街の悪夢」の「フレディー」のように「人に対する恨み」から人を襲ったバケモノとは違う、「悲しさ」を背負った心に傷を持つ「ダーク・ヒーロー」なのです。(それならば、キャスティングはローリーよりも、タッキーだわね。)OK

 

 

 事件の謎が解けた時、尚美自身が虐待を受けていた幼少期に「こどもつかい」と会っていたという記憶を取り戻し、闘いの舞台が現代の廃病院、リサイクルショップ、60年前のサーカス、尚美の子供時代と目まぐるしく変化しますが、尚美自身が「トミーの呪い」で母親を殺してしまっていた事は、衝撃的などんでん返しで面白かった。ニコニコ

 尚美自身の虐待経験と「こどもつかい」との関わりが、「児童虐待」という現代日本の抱える問題として物語りに深味と重みを加え、Jホラーにありがちな「人気アイドルの起用で集客を得る=新人俳優の登竜門(言い訳)」にならずに済んだかなぁ…。という感じです。グッ

 

幼少期の尚美が住んでいたアパート=アルファスタジオ

 

 

 なお、TVのCMや予告編で使われた「子供たちが一斉にドアを開けて廊下に顔を出すシーン」が撮影された尚美が幼少期に暮らしていた部屋のあるアパートは、「TORICK」で山田奈緒子(仲間由紀恵さん)の部屋として使われた「アルファスタジオ」さんです。グーグル・アース画像のL字につなげられた建物の横向きの建物の2階の廊下が子供たちが顔を出した廊下のある建物です。ストリートビュー画像の、正面の木に隠れた所に尚美が駆け下りる「螺旋階段」があります。ちなみに、L字アパートの手前の和風の家は「貞子vs伽椰子」で最初の犠牲者が出た家です。

 アルファスタジオさんのWebサイトで、部屋の間取りなどロケ現場の詳細を確認できます。

 廊下と部屋、撮影時のカメラ位置の関係から、事件の中心人物になる笠原蓮(中野遥斗くん)の家(部屋)の撮影も、この建物の1階の部屋が使われたのではないかと想像します。(玄関の扉が、倉庫の扉。)

 

● 「貞子vs伽椰子」、ロケ地マップ更新。

 

● 「アルファスタジオ」さん、Webサイト

 

 

 事件の謎がすべて解けた時、「こどもつかい」は「道化師人形」の姿に戻りますが、キー・アイテムの「人形の小指」は次の子供へ…。「親から虐待を受けている子供は、他にも沢山いる…。」という事を暗示して一応のエンディング。ニヤリ

 ただ、物語の中で尚美が駿也の子供を「妊娠」している事が明らかになっているので、将来、尚美と駿也の間に生まれた子供が「こどもつかい」を呼び出して、尚美を殺そうとする続編の可能性を感じましたが、「虐待の連鎖」という現実の問題をイメージさせる絶妙な設定になっていると思いました。ニコニコグッ

 

 ただ、「子供の怨念を操る謎の男」という設定の「こどもつかい」ですが、そもそも「子供が怨念を抱くのか?」という疑問を感じます。えー

 子供=無邪気。「欲深くて、計算高くて、腹黒い子供」という子供はあまり見かけません。その行動基準は、好きか嫌いか、YesかNoか。物事を深く考えたり、言葉の裏の相手の気持ちを読んだりできない「未熟な脳」の○か×かの単純な判断が、大人の目では「無邪気」と見える。

 そんな未熟な脳が「怨む」という感情を持つのか…?仮に虐待されたことを怨みに思う気持ちが芽生えたとしても、それは中学生くらいになってからではないかと思います。幼少期の子供に取っては、どんな親でも親は「親」。虐待されていても、それを虐待とは感じずに「親」として慕ってくる…。それ故、虐待されている子供は可愛そうだし、虐待をする親の罪は重い。えーん

 虐待される子供の気持ちを思いやることが出来ない「未熟な人間」が、親として子供を育てようとしていることに根本的な問題があると考えますが、未熟な人間を、未熟なまま世に送り出しているこの国の「教育制度」や、子供のことを考える余裕も与えてられない親たちの「労働環境」など、もっと根深い問題の存在を考えずにいられなくなる作品でした。プンプンムカムカ

 

「こどもつかい」ロケ地広域マップ

 

 稲川淳二さんの「生き人形」、楳津かずお先生の「ねがい」、中田秀夫監督の「劇場霊」、トム・ホランド監督の「チャイルド・プレイ」に並ぶ「人形ものホラー」(そんなジャンルあったか?)になって欲しいところですが、和製ジャック・スパロウになり得る「滝沢こどもつかい」の復活に期待。爆  笑

 ホラー作品としては、世間の評価は低いかもしれませんが、それは映画制作会社の宣伝方法が間違っているからであって、清水崇監督の「こどもつかい」は、「呪怨の清水~」というこれまでの「看板」を、「ダーク・ファンタジーの清水~」にかけ替えることができる作品になったと思います。ラブ拍手

 

 という事で、また次回。