4/2に公開された元AKB48板野友美さん(ともちん)主演「のぞきめ」が、4/22(一部4/28)に公開終了となってしまいました。
公開初日に観に行って、「のぞきめちゃん」の立ち位置に疑問を感じて帰って来ましたが、まさか、たった20日間で終了してしまうとは…。「貞子」、「伽椰子」がゆるキャラ化してしまった今、次代を担える「恐怖の権化」となりえるかどうかが楽しみだったのですが、残念…。
そもそも、恐怖の権化を「ちゃん付け(のぞきめ=のぞきめちゃん、劇場霊=ちょうだいちゃん)」で呼んでしまう時点で、「怖い作品」を期待してはいけなかったようです。
「覗かれたら死ぬ」というキャッチフレーズがあっても、「六部峠に出かけなければ覗かれることはない。」という話になってしまっているので、観ている側が「覗かれる恐怖」を身近に感じられなかった。というのが感想です。
六部峠の「呪い」を知らずに峠を訪れてしまった主人公の後を追いかけて来た「のぞきめ」が、主人公を探す過程でマンションの部屋や家々を覗いてゆき、覗かれた人達が「原因不明の怪死」を遂げる大量怪死事件を究明する中で「のぞきめ」の存在にたどり着く。という話を想像していたので、本作のように冒頭からのぞきめが現れると、観ている側が「謎解き」をしなくても済むので楽に観られて良い感じもしますが、ダラダラ~と流し観られて終わってしまうのではないかと危惧もあった中、「20日間で公開終了」という結果は危惧していた通りになってしまった感じです。
主役、ともちんの演技力を問う声もあるようですが、最近の「Jホラー」は「新人女優の登竜門」になっているので、主演女優に演技力を期待すること自体に無理があり、足りない演技力を補う目的で恐怖の対象(恐怖の権化)をフィーチャーする必要に迫られて、貞子、伽椰子のゆるキャラ化にまで至ってしまった今日のJホラーに「明日はあるのか…?」という思いです。
「のぞきめちゃん」として登場した恐怖の権化は見た目こそ不気味な少女でしたが、「六部殺しの被害者」ということで、「怖い」よりも「かわいそう」になってしまって恐怖半減…。にもかかわらず、最後はともちんを地中に引きずり込み、ともちんまでのぞきめにしてしまう結末…。
どうせなら、興行成績的に「続編」の制作は難しいかもしれませんが、恐怖の権化となって暴れまわるともちんも見てみたいと思います。
「見てみたい」と言えば、ともちんが作品中で「綺麗ぇ~。」と言っていた「六部峠からの眺め」。目印になるものがないので場所を特定できなかったのですが、「佐野フィルムコミッション」、「栃木県フィルムコミッション」、「あきる野フィルムコミッション」、「わたらせフィルムコミッション」、「流山市フィルムコミッション」、「フィルム・コミッション伊豆」と、お馴染みの「小山町フィルムコミッション」が撮影に協力しているので、関東近辺のどこかであろうと思います。
六部の宿として使われた神社が御殿場(小山町フィルムコミッション)の「二岡神社(二ノ岡神社)」なので、峠から湖を見下ろした風景が「合成」でなければ「六部峠=佐野市付近」ではないかとも思います。
のぞきめ同様に「ちょっと残念なJホラー作品」とされてしまった感じの「劇場霊」ですが、DVDとBlu-rayが発売されました。私は、「オーディオコメンタリー」を聴きたかったのでBlu-rayの「プレミアム・エディション」を購入しました。
「恐怖の権化=等身大の人形」という、これまでのJホラーとは路線が異なる「怖い表現」でしたが、私がイメージしている「恐怖を想像させる=怪談」、「恐怖を感じさせる=Jホラー(恐怖の権化に主人公が怖い思いをさせられる)」、「恐怖を体感させる=海外ホラー(恐怖の権化に主人公が襲われる)」というカテゴリー分けからすると、最近のJホラーは恐怖の権化に追い回されたり、恐怖の権化と対決したりと海外ホラー色が強くなっているようです。
なお、人形にまつわる恐怖映画としては、韓国ホラーに「人形霊」という作品があります。この作品では人形が人間に変化して復讐を果たしますが、等身大の人形をインテリア代わりに使っていて、お化け屋敷で生活しているような感じが怖くて◎です。
「劇場霊」も、最近のJホラーらしく恐怖の権化と化した「人形(ちょうだいちゃん=化け人形)」に劇場内を追い回され、対決せざるを得ない状況となります。
主人公(水樹沙羅)=AKB48島崎遥香さん(パルル)ですが、AKB48の「仕事」として劇場霊のオーディションを受けたそうです。俳優初仕事で「主演女優」というのは大変なプレッシャーもあったかと思いますが、中田監督の演技指導のもと頑張ったようです。
この作品では共演の「足立梨花さん(野村香織役)」が、オーディション(劇中)→脇役→主役→人形に殺されるという「影の主役」とも言える助演女優賞ものの演技で脇を支えてくれていましたし、最初に主役=エリザベートを演じた高田里穂さん(篠原 葵役)と合わせて3人の女優がエリザベートを演じていて、3人3様の演技が観られるしっかりした作品になっていると思います。
また、足立さんがオーディオコメンタリーの中で「…このポーズ(親指だけをポケットに入れている)でそばに立っているだけでイラッとする。(劇中の錦野に対して)」と言われるほど「嫌なヤツ=錦野豪太」を好演していた「小市慢太郎さん」の嫌なヤツぶりが最高です。
その、足立さんにイラッっとされていた独特のポーズも小市さんが創り出したポーズだそうで、あのポーズとごう慢なものの言い方で、錦野豪太というキャラクターが完璧に出来上がっていたと思います。
また、これはオーディオコメンタリーを聴いて知ったのですが、小市さん、「リング」と「L Change The World」にも出演されていたという事で、両作品を観直してみたら、「L~」の方は「ミスター・Jホラー=諏訪太朗さん」、「柳ユーレイさん」と共に「チョイ役」程度に出演されていましたが、「リング」では貞子の母、志津子の透視実験の会場で、透視の結果を「的中!」、「的中!」、「的中!」と取材記者らに示している透視実験進行役が小市さんでした。(「リング0 バースデイ」にも、その実験の際の「的中!」の声で出演しています。)
存在しないものを存在するかのように描いて怖がらせるJホラーに、「人形」という存在しているものを登場させて怖がらせようというのは新しい挑戦だったと思います。
その「人形」を演じていたのが「ゾンビアス(井口昇監督)」に出演していた「護あさなさん」でしたが、首が180度回った状態の「背面歩行」で主人公に迫ってくるシーンを熱演されていました。ただ、難しかったでしょうねぇ、化け人形(ちょうだいちゃん)の演技は。(ファンキー中村さんが体験した「後ろ歩きの女」を再現していたのかもしれません。)
ちなみに、この作品で登場した化け人形の台詞の「ちょうだい…。」ですが、「怪談 新耳袋 ふたりぼっち編(青いレインコート)」に登場する子供の幽霊のキメ台詞も「ちょうだい…。」です。
化け人形が護あさなさんだと知って、もう一度劇場へ観に行こうと思っていましたが出かける前に公開が終了してしまいました。
残念なことに、私は公開終了になるまで知らなかったのですが、この作品は「4DX版」も公開されていたそうです。4DX版を観られなかったのが心残り…。
関連作品に「劇場霊からの招待状(全10話)」がありますが、あの作品の主人公もAKB48のメンバーだそうです。「怪談 新耳袋」を思わせる場面や、モンスターが登場しない「怪談 新耳袋 絶叫編 下 ぎぃ」を思わせる「第10話 永遠」など、劇場霊と直接関係のない話でしたが劇場霊と合わせて楽しませてもらいました。
ちなみに、第10話で撮影に使用されたロケハウスは「劇場版 呪怨2」でノリピーの家だった「呪怨2ハウス」です。「怪談 新耳袋 御祓いは効かない編(幽霊屋敷と呼ばれる家、教えて)」、「北野誠のお前ら行くな。 GEAR 2nd TV完全版 Vol.2」で「心霊サミット」の収録に使用されたロケハウスです。
結局、「女優霊から20年」というキャッチコピーは「中田秀夫監督」のためのキャッチコピーだったようです。
ただ、撮影に使われた物件が、女優霊ふが撮影された「日活撮影所」の近くにあったりします。
左上に「調布日活撮影所」、右下に沙羅のアパートと公園
沙羅のアパートと、沙羅と和泉が話した公園
(公園のすべり台と壁の一部はCG処理で色が変えられています。)
沙羅のアパート
劇場=外観
(所沢文化センター ミューズ)
劇場=ステージ
(山梨県富士川町ますほ文化ホール)
沙羅のアパートは日活撮影所の近所で、室内は日活撮影所内という手近なところで撮影してしまう「技」も中田監督の力量なのだろうと思います。
ちなみに、「のぞきめ」では御殿場の二岡神社の撮影で、2日間、スタッフ延べ人数120人で「120万円」かかっているそうなので、「近場で撮る技」は限られた予算で制作される映画には必要不可欠な技のようです。
同じく中田監督の「仄暗い水の底から」では、「幼稚園=調布、つつじヶ丘」、「幼稚園前のバス停=調布、つつじヶ丘」、「団地内=調布、日活撮影所」、「アーケードのある商店街=横浜、横浜橋商店街」、「親子が歩く川沿いの道=横浜、鶴見川沿いの道」、「団地=横浜、市営滝頭住宅」、「団地屋上=横浜、横浜船員センター」、「父親と郁子=横浜、桜木町駅付近」と、日活撮影所のある「調布」と「横浜」で撮り終えている感じです。
「仄暗い~」ロケ地などの位置関係
少し範囲を広げて「リング」の呪いのビデオが置かれていたキャンプ場も表示(左上)
制作予算と劇場公開までの日数(納期)との闘いの結果が「興行成績」に反映されれば、どんな苦労も吹き飛んでしまうと思いますが、のぞきめのように短期間で終了してしまった作品の場合、制作に関わった皆さんの気持ちはどうなんでしょうねぇ…。
ただ、最近はDVDやBlu-rayのレンタルもあるので、劇場公開でコケてもレンタルビデオで取り返せれば「良し!」なのかなぁ…。
*一部訂正です。
「仄暗い水の底から」の撮影で使われたのは、「アーケードのある商店街=横浜、レアールつくの商店街」でしたので訂正して場所をマーキングしました。(5/4)
「レアールつくの商店街」、「絶叫学園学級」の近くの横浜市鶴見区の商店街です。
という事で、「のぞきめ」の原作本を読みながら、DVD、Blu-ray発売を楽しみにしつつ、皆さんもレンタル中の「劇場霊」をもう一度お楽しみください。
では、また次回。
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