虎穴に入らずんば虎児を得ず
講演で栄養の話をするとき
嫌気的解糖でブドウ糖を乳酸にするときはATPが2コしか作れない
C6H1206 → 2C3H6O3 + 2ATP
好気的解糖ならATPが38コできます
C6H1206 + 6O2 → 6CO2 + 6H20 + 38ATP
これをATPサーティーエイトといいます。ここで笑い
でもどっから38ものATPができたんだよ。ATPはどっから湧いてきたんだよ。
じつはATPも化学反応でできたのです。
それには補酵素のNADやFADもすっごく関与しています。
そこで嫌われるのを覚悟して化学式。
解糖系は3段階ありましたよね
第一段階:細胞質でブドウ糖からピルビン酸まで。ATPを2コ作ります。
C6H12O6 +2NAD→2C3H4O3(ピルビン酸)+2NADH2
このとき2ADP+2P(リン酸)→2ATP
すなわち第一段階では水素イオンが4コ、NADに運ばれて電子伝達系へ
第二段階:ミトコンドリアをもつ真核生物ではピルビン酸がミトコンドリアのマトリックス(まるで腸管)内のクエン酸回路でグルグル回ります。ことのき2コのATPを作ります。
2C3H4O3+6H2O+8NAD+2FAD→6CO2+8NADH2+2FADH2
このとき2ADP+2P→2ATP
すなわち第二段階では水素イオンが20コ、NADとFADに運ばれて電子伝達系へ
第三段階:ミトコンドリアの内膜(まるで腸管の粘膜)内で電子を伝達して34コのATPを作ります。
6O2+10NADH2+2FADH2→12H2O+10NAD+2FAD
このときNADH2は3コのATPを、FADH2は2コのATPを作るので
10×3(ADP+P)+2×2(ADP+P)→34ATP
第一、第二、第三を合計すると
C6H12O6 +6H2O+6O2→6CO2+12H2O+38ATP
略せば C6H12O6 +6O2→6CO2+6H2O+38ATP
これってさ光合成の
6CO2+6H2O+太陽エネルギー→C6H12O6 +6O2
の裏返しだよね。
つまりさミトコンドリアは葉緑体の真逆なことをやって太陽エネルギーに匹敵する莫大な通貨ATPを手に入れたってこと?
さらにこのC6H12O6 +6O2→6CO2+6H2O+38ATPとさ
C6H1206 → 2C3H6O3 + 2ATP
の2つの公式さえ覚えておけば、生物学の半分以上わかってしまうのさ。