健診で非浸潤癌といわれました。主治医は全摘が必要だが術前にホルモン療法をして様子を見ても良いと言います。私の母も乳癌で浸潤癌であったため抗がん剤をしましたので、念のためにホルモン療法をした方が良いでしょうか。ホルモン剤をすれば取らなくても良いでしょうか

鼻の頭におできが出来たら軟膏を塗ったりメスで切ったりしますよね。これを局所治療といいます。でもバイ菌が全身に回って高熱が出たら、局所をいくら治療しても助かりません。抗生剤の点滴で全身のバイ菌を叩かないといけません。
乳癌も同じように局所にとどまっているようなら手術や放射線だけで助かります。しかしがんが大きいとき、リンパ節が腫れているとき、がんの顔つき(グレードという)が悪いときなどは遠隔転移を起こしやすいので、抗がん剤やホルモン療法といった全身治療が必要です。あなたのお母さんは浸潤癌だったうえにそういった危険因子があったので抗がん剤となったのでしょう。しかしあなたは非浸潤癌で遠隔転移を起こさない前癌状態です。局所治療をすればほぼ100%命は助かります。ホルモン剤であっても薬であるかぎり必ず副作用があります。特に更年期障害が起きますので局所病の非浸潤癌には用いません。このまま取らなかったり手術の取り方が足りずに局所再発をさせると、半分は浸潤癌と言って遠隔転移を起こす危険ながんになり、こんどは抗がん剤やホルモン剤が必要になりますので、まずきちんと取りましょう。