乳がんになる前は子供をいくつかのスポーツ教室に通わせ、たくさんのお母さんたちとお付き合いしていました。自分にとってもそれが楽しみだったのです。しかし手術をしてからそうした付き合いがおっくうになってきて、特にある人の心ない言葉で鬱になってしまいました。どうしてもお付き合いしなければならない人のですが、それがなおさら負担です。

この相談を受けて、どう答えようかと思いながら、朝一番の飛行機で福岡から大阪に向かいました。あいにく雪まじりの荒れた天候で出発も遅れ、果たして伊丹空港に到着できるのかと不安に思いながらいつも通り機内で爆睡しました。目を覚ますと雲の上はまばゆい青空です。
むかし外国のテレビ漫画(カトゥーン)で主人公にささやきかける悪魔とそれをたしなめる天使がよくでてきました。悪魔は感情です。本能のまま生きろと言います。天使は理性です。ルールを守れと言います。悪魔は心です、天使は頭です。私も頭では分かっていても心がついて行けなくて苦悩します。頭はときに私を支配しようとして、行動の一つ一つに注文を付けます。それがすごくうざいです。一人の生き物の中に二つの命令系統があるなんて人間だけでしょう。だから人間は鬱になったり、自殺したりするのです。
ところでその漫画の中では大抵、悪魔君が天使をぶん殴って主人公は感情のおもむくままに行動します。人間がいつもそうでは社会が成り立ちません。社会にはルールが必要です。しかしときにはそれも必要です。ストレスを漢字で書くと人間関係と書きます。煩わしい人間関係が無ければストレスにはなりません。あなたはもう十分頑張ってきました。天使が出てきて「どんな人でも仲良く付き合いなさい」とあなたをいさめるようなら悪魔君にぶん殴ってもらって、嫌なものは嫌、だめなものはだめ、できないものはできないと認めるのです。それができたときに心は晴れ晴れとします。嵐の雲の上はいつも青空なのです。(ただし本当にその人をぶん殴ってはいけません)