年末年始の宴会で、胃腸は荒れ放題、贅肉付き放題、肝臓は弱り放題のあなた!
とっておきの食事があります。高アミノ酸のスープです。
韓国では亭主が酔っぱらって帰ってくると、女房がなじります。
「まったくこの人は毎日酒ばっかり飲んで、身体こわしても知らないよ!早く寝ちまいな!」
亭主が布団に倒れ込んでいると、なにやらドンドンと物を叩く音が聞こえます。
「女房のやつ、怒ってんだろうなあ」と思いながら眠りにつきます。
そして翌朝、
「いい加減に起きな!仕事に遅れちゃうよ!」
「頭が痛くて起きられないよ」と亭主が言うと、
「飲み過ぎなんだよ、さあこれを飲んで元気を付けな!」
と言って、出してくれるのが干鱈のスープです。
日本ではスケトウダラはタラコを取ったあとは練り物の材料になってしまいますが
韓国では明太といって乾物で食べます(ちなみにタラコのことは明太子と呼びます)。
実は昨晩のドンドンという音は、干鱈を麺棒(またはすりこぎ)で叩いてほぐしている音でした。
ほぐして一晩塩抜きをします。干し昆布と干し椎茸は一晩水で戻しますと絶妙なだしが出ます。
白菜の芯を短冊に切って、大根は銀杏切りにして少量の水で一煮立ちさせて準備完了。
翌朝、野菜とその煮汁とだしと鱈を入れて煮ればすぐできあがり、塩味は鱈から出ますので
最後にあたりを付けて下さい。韓国ではトックという溶けにくい餅を入れますが、
正月の余りの餅や豆腐、ときにはうどんでもおいしいですよ。
ごま油少々、すりごまやこしょうを入れれば風味が増します。
口ではなじりながら、亭主の身体をいたわって前の晩から仕込みをした、愛情あふれた料理です。