検診でごく初期の乳がんが見つかりました。非浸潤癌だそうです。マンモグラフィでは石灰化は狭いもののMRIではかなり広く、それでも温存を希望する私のために主治医は広背筋を用いた同時再建を勧めてくれています。それよりもシリコンの方が身体を犠牲にしないから良いのでしょうか

乳房温存術の局所再発率は放射線をかけなければ38%もあります。ということは38%以上の確率でがん細胞が残っているということです。それが放射線照射によって15%まで減少しますが、それでも全摘の局所再発率3%に比べれば明らかに高いのです。にもかかわらず温存が許されているのは生存率が変わらないことと、再建せずに乳房形態が保たれるからです。もし再建が必要な温存ならば、むしろ皮下乳腺全摘(皮膚を残して乳腺を全摘する)をして再建をした方が将来の局所再発も少なく、広背筋でもシリコンインプラントのどちらでもきれいに再建できるでしょう。
またMRIの良い点はがんの広がりがよく分かることですが悪い点は実際よりも広く写ってしまうことが多いことです。今のように針生検やマンモトーム(マンモグラフィや超音波で観察しながら組織を取る検査)がなかった頃は外科生検といって怪しいところを手術で取って癌の診断や広がりを調べたものです(私の年がばれてしまう)。もし温存にこだわるなら、最初は外科生検のつもりで小さく取って、取り切れればそのまま放射線をかければ良いし、取り切れていないとき(断端陽性とも言う)や変形があるときは皮下乳腺全摘同時再建をしてはいかがでしょう。乳がんはきちっと取ってきれいに治すことが原則です。