アメリカンドリームという言葉がある。皿洗いからたたき上げて、事業で成功、ベッドルームが14、プールがあって、リムジンがあって、自家用ジェットで移動。
それに対してイングリッシュドリームという言葉もある。実業家や政治家として成功するも、アーリーセミリタイア、田舎の林の中、小川の流れる近くに、小さなイングリッシュハウスを建てて、2匹の犬と、数千冊の古典文学の本と暮らす。
ではジャパニーズドリームとは・・・・。富士(富士山でも岩木富士でも岩手富士でも良い)か海の見えるところに、古い農家を移築して、猫の額ほどの畑。晴れの日は畑を耕して、雨の日は読書をする。一日三合の玄米と、味噌と少々の野菜を食べる。これがジャパニーズドリームである。
昔、医者になりたてのときに三陸の過疎の町を訪れたことがある。駅前に広い道が一直線に伸びて突き当たりは八幡様の山、その道の両側に商店街が連なっているのだが、その景色を見て愕然とした。人が一人も歩いていないのである。ゴーストタウンのような恐怖を感じた。こんな町で一生を終わるのはごめんだ。俺は東京で成功してやると思ったものだ。その頃は六本木も赤坂も輝いて見えた。
今は、東京の喧噪に不潔さを感じる。そしてあの町がなぜか思い出されるのである。