日本形成外科基礎学術集会2017in大阪 その2 ピコレーザー | 名古屋タワーサイドクリニックのブログ

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日本形成外科基礎学術集会2017in大阪 その2 ピコレーザー

 

各論編 ピコ秒レーザー治療の基礎と新展開 の感想を述べます。

 

 

私も

「ピコレーザーはタトゥー除去に適さない」

というブログを書いた後の初めてのピコレーザーシンポであり大いに興味を持って聴講しました。

 

 

まあ、シンポジスト間で結構内容に差異があったのですが、タトゥー治療についての共通認識を大まかにまとめると

 

※ タトゥー治療には抜群に良い、 シミは少し良い? 若返り系は微妙という御意見

※ 基本的には従来からの光学の理論に依拠している。

 (ピークパワー、パルス幅重視、照射径、照射ジュール軽視)

※ ボカシという論点はない

※ ピコレーザー → サブナノレーザー との呼称の言い換え

※ 少ない症例提示。6名のシンポジスト中タトゥー症例提示は3名(1名はタトゥーに使用せず)


 

という感じでした。(と思いました)


 

で、ここからは私(宮崎)の意見なのですが

シンポジスト諸先生方をリスペクトしている点は強調させて頂いた上であえて言い切ってしまうと

 

名古屋タワーサイドクリニックのタトゥー治療結果よりもキレイな治療結果は無かった

 

と私は思いました。仕上がりのキレイさ, と言う意味でです。

但し、症例ご提示の無かったシンポジストは除きます。

最終形として提示された治療例も当院的には未だ道半ばと感じました。

最後の1例のみは良かったと思いましたが、それでも結構色素脱失や絵柄の輪郭が目立ちました。色素自体は良く取れていると思いました。


 

私が考える問題点を簡単にまとめると

 

1)熱緩和時間、応力緩和時間、光熱作用、光音響作用

での議論はあくまで光学的な視点であり、

タトゥー色素を自己免疫を賦活させて除去する、ということには必ずしもイコールではない。

つまり「食細胞が自己と非自己を判別する、異物を排除する」という細胞生物学的な(分子生物学的な)視点からもタトゥー除去を考えるべき

 

2)ピークパワー、パルス幅重視で色素を粉砕し、光学可視的に見えにくくする(ぼかす、と解釈します)という視点は賛成ですが、それを実現するためのサブナノレーザー照射径の実効照射径はレーザーのスペック上2~4mm径が限界であり、その小口径照射は皮膚を傷つけるというデメリットの方が大きい

(カタログデータ上、例えば8mm径とかで照射できることにはなっていますが、フルエンスが弱すぎて全く使い物にならない)

 

3)そもそもが仮に全く皮膚ダメージなく色素を除去できたとしても、色素注入時の皮膚ダメージ、時の経過による色素という異物反応による肥厚化(線維化)、光老化等々が原因の皮膚テクスチャーの変化、など

のため、タトゥーの輪郭がシャープにわかる例がおそらく多い筈であり、それでは「タトゥーの色素が取れた」のであって「タトゥーが除去できた」とは言わない(名古屋タワーサイド的には)。(しかも色素も取れないし)

タトゥーの色素が除去できてもそのシルエットがクッキリ肌に刻まれたままでは社会生活に復帰するという目的が果たせない。悪い言い方をするとレーザーサイエンティストの自己満である。

従って「周囲の正常皮膚とのラインのぼかし」のステップは治療に必須である。

 

簡単に言うとこんなとこです。

 

 

 

まあ、今回「ピコレーザーはタトゥー除去に適さない」ブログの感想を数人の業界内の方から頂戴したのですが、

ハッキリ言って消耗しました。

無理解、無知、無調査などに依拠した全方位的ディスりや慇懃無礼的ディスり、感情的包括的ディスり

には参りました。

誰もわかってくれなかったんだ、と思いました。

 

従って、今後はあまり技術的なこと、照射上の細かなことは書かないようにするつもりです。

 

その代わり「結果を出し続けて情報として提示し続ける」事には尽力しようと思いました。

 

※新刊

ピコ秒レーザー治療入門 単行本 – 2017/10/6

は他に類を見ない好著と思います。

 

 

 

 

みや