皆さんこんばんわ!
認定テクニカルアナリストのTomです。
最近、テクニカルなことばかりやっていたので、
今日は時事ネタを取り上げたいと思います。
時事ネタから金融知識を付けていってもらえればうれしいです。
皆さん「ゲームストップ」という会社をご存じでしょうか?
最近アメリカ市場を賑わしている会社です。
概要を時事通信から引用します。
【ニューヨーク時事】米ゲームソフト販売大手「ゲームストップ」の株価が、業績不振にもかかわらず連日急騰している。
27日の終値は前日比で2倍超となった。
株取引アプリが普及し、スマートフォンで手軽に売買が行われる中、大勢の個人投資家がインターネット交流サイト(SNS)を介して相場形成を主導したようだ。
ゲームストップの2020年8~10月期業績は、売上高が新型コロナウイルス流行で前年同期比3割減となり、赤字計上を余儀なくされた。
しかし同社の株価は今週とりわけ大きく上げ、年初から18倍超に達した。
相場急騰の背景には、SNS「レディット」でつながる個人投資家の存在が指摘されている。ゲームストップのさえない業績を踏まえて株価下落を当て込み、「空売り」を仕掛けていたヘッジファンドに、個人投資家が対抗する機運がSNSへの書き込みを通じて高まっていたという。
(時事通信より引用)
実際の株価はこんな感じです。
(Trading Viewチャート)
わずか半月で17ドルから480ドルです。
凄まじいパンチ力です!
これは現代の仕手株アメリカバージョンですね。
これが日本の仕手株(してかぶ)と若干違うところは、
SNSで大々的にヘッジファンドをやっつけようぜと始まったとのことです。
SNSきっかけというのがいかにも現代的です。
テスラなんかも凄い上がり方しましたが、
あちらは内容が伴っているので、根本から違う値動きになります。
今回の騒動が仕手戦だと言われるのは、業績というバックボーンがない。
または突然変異的に株価が狂ったように上がっている。ということからだと思います。
日本の仕手戦は、投資集団が事前に株を仕込み、その後株価を買い上げて、
高値で売り抜ける手法です。
日本では最近はあまり聞かなくなりましたが、バブル時代にはよくあったものです。
近年では機関投資家などのプロとアマの資金量の差から大きな相場を作れなくなっているからだと思います。
今回のゲームストップに話を戻しますと、
コロナ後から参入したロビンフッター(アメリカの手数料無料のネット証券)が、
上昇相場で資金を蓄え、ボロ株でヘッジファンドに喧嘩を売った形です。
でもなぜ、株価がこんなことになったか疑問に思う方も多いかと思いますので、
メカニズムを簡単にご説明します。
メカニズムはこうです。
①個人投資家が、SNSで大々的にゲームストップ株をみんなで買って、
ヘッジファンドなどのショート筋をボコろうぜと扇動します。
当然ぼろ株ですので、ヘッジファンドなどは空売りで入ります。
個人投資家の買いの勢いが上回った結果、株価が上昇。
株価が上がることで、空売り勢は担保切れになり、
買い戻しを余儀なくされ株価が更に上昇。
ちなみに空売りとは売りから入り、あとで株を買って清算する手法です。
イメージとして100円で売って、株価が90円の時に買い戻せば、
差額10円が儲かるという仕組みです。
今回のケースでは空売りをしていたヘッジファンドや投資家は、
日本でいうところの追証(マージンコール)が発生します。
追証とは無茶苦茶損失が出るので追加の担保をくださいというものです。
担保を入れなければ強制決済になります。
売り方のヘッジファンドが降参した場合、
清算になりますので、株を市場から買って清算するので、さらに株価が急伸します。
スラストと言われるチャートパターン突入です。
②ロビンフット証券がオプション取引を進めていたこともあり、
個人投資家がゲームストップ株のオプションを大量に購入しました。
売り方に回ったヘッジファンドなどは、株価が上昇するにつれて損失回避の為、
現物株を買わないといけなくなる。
そのために株価がさらに上昇。
アメリカでは日本と違い、個別株のオプション取引ができます。
(日本では個別銘柄は出来ません)
今回個人が大量購入したのはコールの買いというものになり、
将来決められた株価で株券を買える権利です。
デリバティブの話になるので、シェーマを提示します。
例えば現在A社の株が1000円であったとします。
1100円で買う権利が10円で売っており、小銭で購入しておきます。
3か月後A社株は1200円となっていました。
権利を行使して100円を手にしました。(1200円-1100円)
権利料の10円を引いても90円儲かりました。
10円が90円なので9倍の利益が取れました。
逆に下がってしまった場合は、権利は行使せず、ごみ箱行きです。
という取引です。(コールの買い)
個人がこの権利を買った場合、反対側でこの権利を売った人間がいます。
今回のケースではたぶんヘッジファンドでしょう。
売った側は権利料(10円)をもらえますが、
株価が上昇した場合、壊滅的な損を出すケースがあります。
損失は無限大になります。(コールの売り)
その為、株価が上昇するに従い、
少しずつ損失が出ることを警戒して現物の株を買っていきます。
そうすることで損失を回避するのです。
③アメリカでは元々ストップ高/安という制度がない為、どこまでも上昇する。
近年は行き過ぎないようにサーキットブレーカーという制度も導入されてはいます。
こんなところが今回のアメリカを騒がせている「ゲームストップ騒動」のメカニズムになります。
まあ、株価の上昇は永遠ではなく、いつかは止まります。
その転換点を探るのは難しいですが、出来高に注目するといいと思います。
出来高が減少したときは危険信号点灯です。
今回「ゲームストップ」はロビンフット証券の保証金の関係で、
何度か取引停止になっているようで売買が何度も止まっているようです。
強制的に「ゲームストップ」になるかもしれませんね。
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名古屋投資カンパニー 共同代表 Tom