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不動産について遺産分割の方法の指定(特定財産承継遺言)により遺言をされた場合の遺言執行者の役割(民法改正)

● 改正前

 

 「相続人Aに甲土地を相続させる。」という特定財産承継遺言がなされた場合,遺言をした者の死亡により甲土地はAに遺贈ではなく相続で承継されたものと解されます。(最判平3.4.19)

 

  特定財産承継遺言とは

被相続人の遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人または数人に遺産分割の方法の指定として相続させる旨の遺言のことです。現民法第908条には,

「被相続人は,遺言で,遺産の分割の方法を定め,若しくはこれを定めることを第三者に委託し,又は相続開始の時から5年を超えない期間を定めて,遺産の分割を禁ずることができる。」

とあります。

 

 この特定財産承継遺言により,相続人Aは単独で相続を原因とする所有権移転登記申請をすることが可能です(不動産登記法63条2項)。では遺言書に遺言執行者が選任されていたとしたら、遺言執行者は当該相続人のように登記申請はできるのでしょうか。

 

 この場合,民法改正前は遺言執行者は遺産である不動産に相続登記手続をすべき権利も義務(権限)も有しないのです(最判平7.1.24)。

一方、相続人Aへの所有権移転登記申請がされる前に,他の相続人Bが当該不動産につき自己名義の所有権移転登記申請をしたので遺言の実現が妨害される場合には,

「遺言執行者は,遺言執行の一環として,右の妨害を排除するため,右所有権移転登記の抹消登記手続を求めることができ,さらには,相続人甲への真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を求めることもできると解する。」

という裁判例があります(最判平11.12.16)。

 

 このように以前は、遺言執行者は通常相続登記申請についての権限がないにもかかわらず(清算型遺贈のような例外はあります),他の相続人が妨害したときは,遺言執行者が申請できるようになるという分かりにくい状態でした。

 

 

● 改正後

 

 改正民法では,相続時に遺産に属する不動産について登記がされていない不動産が多数存在することが社会問題となっていることから,

「遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言(以下「特定財産承継遺言」という。)があったときは、遺言執行者は、当該共同相続人が第八百九十九条の二第一項に規定する対抗要件を備えるために必要な行為をすることができる。」

と規定されました(新民法1014条1項)。

 

 そして第899条の2第1項は,遺言の内容を知らない第三者の取引安全のため,

「相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第九百一条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。

と規定されました。

 

 遺言の対象財産が特定財産である場合には,それを相続すると遺言に記載されている相続人が単独で不動産には登記を具備することができますが,当該遺言書で選任された遺言執行者にも単独申請による登記を認めることになりました。

 

 

 


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