
総工費150億円をかけてすすめている名古屋城本丸御殿復元工事。名古屋市
では、復元手法として「焼失前の本丸御殿と同等の歴史的文化的価値を有する
建物を再現するよう、原則として旧来の材料・工法による、旧状再現を図るも
のとします。なお、現代の技術や生産事情、活用方法や維持管理も考慮して取
り組むこととします。」としています。ところが、これをチェックするために
開催されている検討委員会で学識経験者の委員から異論がでているのです。
名古屋城本丸御殿復元工事を議論する検討委員会建造物部会が、12月13日
(月)に開催され、建造物部会の部会長名古屋工業大学麓教授ら学識経験者の委
員と名古屋市側が真っ向から対立。7月に開催された会議で、玄関部分の工法
が当初案を委員会に無断で勝手に工法変更したとして対立。玄関部分はすでに
工事がすすんでいるため、委員会は黙認せざるを得なかったのですが、今日提
案された新たな表書院部分の工事計画でも、名古屋市が変更したあとの工法を
採用するというので委員会側が意見を無視されているとして猛烈な抗議をしま
した。会議は予定を2時間も超えるものとなりましたが平行線のまま、次の会
議で再検討することに。
ひとつには、当初の設計図では基礎と柱についてほぼ当時の工法で工事するこ
とになっていたのが急遽現代工法に変更。もうひとつは、乾燥によるひび割れ
を防ぐため背割を木材にほどこすことにしたこと。背割は消失前の本丸御殿に
はほどこされておらず、史実にもとづく工事とは異なるもの。学識経験者の委
員は、ひび割れが生じてもそれは史実にもとづいた工法を実施したためで理解
は得られるはずと強く反発しています。