年末からしばらく更新できておらず

 

すみません。本年もまた気を取り直して

 

がんばっていきたいと思います。

 

よろしくお願い致します

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縁起とメダリスト
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今回のテーマは「縁起(えんぎ)」です

「茶柱が立つとは縁起がいいね~」

「そんなこと言わないでよ、縁起でもない」 など、と使われます。

この縁起という言葉、実は仏教が由来といわれています。

ところが今日「縁起がいい」「縁起が悪い」という使い方は

本来仏教ではなされません。もともとの意味が変わってしまったのです

そこで、仏教で本来言われる「縁起」とはどんなことか

今回はご紹介したいと思います。



縁起とは「因縁生起(いんねんしょうき)」ともいわれます。

「生起(しょうき)」とは、生じ起こるということで

私の身に起こるさまざまな結果・出来事のことです。

仏教では、起こった事には、必ず「因」と「縁」があり

「因」と「縁」がそろってはじめて「結果」が生じ起きるのだと教えています。

「因」とは「原因」のことです。そのような結果が起こった直接の原因のことを

「因」といいます。

「縁」とは、原因と結びついて、結果を起こすのを助けるもの、間接的な条件をいいます。


仏教では、わたしの身に起こるすべての出来事は、自分の行ないが原因であると

教えられ、よくも悪くもすべては自業自得なのだよと教えています。

受験生ならば、一生懸命勉強するのは、志望校に合格するためでしょう。

合格という結果は、自分が勉強するという行い(原因)によって生み出されると

思うからこそ、みんな一生懸命頑張るのでしょう。

ところが仏教では、結果を生み出すもう一つの大事な要素として「縁」という

ことが教えられています。この縁というのは、自分以外のすべてのものを縁と

いいます。たとえば、周りの人や環境、場所、状況などは縁になります。

勉強でいえば、どんな人から教えてもらうかやどこで勉強するかというのは

「縁」ですが、これによっても結果は変わってきます。

教える先生や指導者によって、理解がぐっと深まったり、やる気高まることもあれば

反対になることもあります。また勉強するときでも、図書館や自習室でされるという

方もあるでしょう。自分の家だとついつい怠けてしまうということで、

図書館や自習室を利用される人も あります。これは環境(縁)が影響を

及ぼすということをよく知っているからです。

しかしどんなにすばらしい先生や環境が用意されていても、本人が勉強しなければ

よい結果は望めません。

ですから仏教では自分の身に起こるさまざまな結果・出来事というのは

因と縁が結びついて生じ起こっているのですよと教えられ

これを「因縁生起」とか「縁起」といわれます。


2020東京五輪スケートボード女子パークで金メダルを獲得した

四十住さくら選手(19歳)は

和歌山出身で小学6年生のときに兄からスケートボードをもらい、本格的に開始。

真剣に練習する姿に両親が自宅の庭に手作りの練習場をつくります。

さらに上達するにつれ、もっと向上したいの思いから県外に練習場を求めます。

なぜなら当時和歌山には練習場がなかったのです。

三重・大阪・神戸へ毎日学校の後、練習へ通い

往復5時間かけることも珍しくありません。

両親への負担も大きかったのですが「スケートボードで日本一になる」という娘の言葉に

両親はフルサポートを決意したのです。

そのような甲斐もあり、大きな大会で次々と優勝していきます。

ところがコロナになり、大会がなくなったり、思うように練習できなくなってしまいます。

そんな状況を聞きつけた地元の老舗企業が協力を申し出て

倉庫を無償で提供し、特設の練習場を手にすることができました。

自宅から5分で行けるところにあり、最高の環境を手にし

見事、オリンピックで優勝することができたのでした。


四十住さくらさんのことを通して見てみると

両親が手作りの練習場を作ってくれたり、全面的にサポートしてくれたり

また地元企業が練習場を提供してくれたりしたことは「縁」です。

恵まれた縁が、金メダルという結果に大きな影響を与えたことは間違いないですが

そのような良い縁に恵まれたのは、ひとえに四十住さくらさんの

「スケードボードで日本一になりたい」という強い思い、そしてひたむきな努力が

あったからでしょう。これを仏教では「因」といわれます。

なんとしてもの思い、そして努力という「良い原因」が、周りの人たちを動かし

良い縁(環境)を得ることにつながっていったのです。

もし四十住さくら選手にそこまでの思いや努力がなければ、両親や地元企業も

協力してくれなかったかもしれません。

強い思いやひたむきな努力は、やがて必ず「良い縁」と巡りあい、すばらしい結果を

もたらすことになるでしょう。

周りの人の助けや環境といった「縁」には感謝して、さらなる努力(因)につとめて

いけばますます恵まれ、良い循環が生まれていくことでしょう。


このように仏教では、明るい未来という結果をつかみ取りたかったら

それは因縁がそろって生じ起こることだから

原因となる自分の行ないによくよく気をつけなさいと

教えられ、反省と努力に心がけなさいと言われます。

そして、縁となる周りの人や環境に

感謝して大切にしていくことで

明るい未来が切り開かれてゆくのですよと教えられています。

お互い、よい因縁がそろうように心がけてゆきたいものです。

 

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nagoya.japan-buddhism.com