東の空を見上げたら、鳥が飛んでいます。
「あれはなんだろう?」
図鑑で調べてみたら、カモメという鳥らしいです。
西の空を見上げたら、白いモクモクしたものが浮かんでいます。
「あれはなんだろう?」
図鑑で調べてみたら、雲という自然現象のようです。
北の空を見上げたら、火を噴きながら高速移動する筒状の物体が、こちらに向かって飛んできています。
「あれはなんだろう?」
図鑑で調べてみたら、大陸間弾道ミサイルとかいうやつらしいです。
南の空を見上げたら、よくわからない円盤が、ぶらぶら飛んでいます。
「あれはなんだろう?」
図鑑で調べてみたら、UFO(未確認飛行物体)とか言うやつらしいです。
未確認なのに、図鑑に載っているとは驚きです。
でも、ふと気になりました。
「空を見上げている私って、なんだろう? だれなんだろう?」
図鑑を調べても、どこにも載っていません。
図鑑の中には、私と一致する情報がありませんでした。
「え? どうして、私は図鑑に載っていないの?」
これでは困ります。
私は一体、だれなのかが分からないではありませんか。
「誰でもいいから、私がだれなのかを教えて」
でも、誰も教えてくれません。
それでも、答えが欲しいから、私は「私が誰なのか」を探し続けました。
「これが私なんだ」
そう胸を張って言えるために、私らしさみたいなものを追いかけたのです。
さばさば系とか、おっとり系とか、いろいろ試してみました。
勉強タイプなのか、スポーツタイプなのか、いろいろ試してみました。
自分らしさを求めて、「これが自分だ!」と胸を張って言えるようになるため、理想像を思い描いて生きてきました。
でも、それらは違うんですね。
「これが私なんだ」
という決め手なんてないのです。
「私」という項目を図鑑でいくら探しても、見つからないのです。
そして、それこそが、私が私であることの証明なのです。
一致する情報が無いこと。
それが、私が私であることの証明なのです。
だから、だれか憧れの理想の人間になる必要なんてないのです。
サバサバしているから、私なんだ。
おっとりしているから、私なんだ。
不思議系だから、私なんだ。
筋トレが好きだから、私なんだ。
メタルが好きだから、私なんだ。
出世したから、私なんだ。
男だから、私なんだ。
女だから、私なんだ。
すべて、どうでもいいことです。
私だから、私なんだ。
これだけで、よいのです。
