【弁護士北村栄の連載vol.10】今 こそ有用な再審法の制定を!
今こそ有用な再審法の制定を!
-無実のままに刑に処せられた多くの人に思いをはせよう-
その後阪原さんは亡くなり、遺族が2012年に第二次再審請求を行い、大津地裁、大阪高裁でも「再審開始」が認められ、今般最高裁で確定となりました。この間、再審請求を行ってから14年が過ぎました。
2つ目は、再審決定が出された場合の検察官の不服申し立ての禁止です。この間、裁判所がようやく再審決定を出しても、証拠を隠しねつ造をしてきた捜査側がどの事件も不服申し立てをして再審を阻んできました。このため、再審無罪までに長期の時間が経過したり、名張毒ぶどう酒事件などえん罪被害者が救われない状況になっています。
3つ目は、審理を行う際のルール作りです。現在は、再審の審理の進め方について、裁判所は三者協議すら開く必要はなく、どういった手順で、いつまでに審理を行うのかすら決められていません。そのため、再審請求をしても十数年かかって棄却されたとか、塩漬けにされ審理すらされなかったという事件が多数となっています。
そして、本年2月12日にその法制審議会が再審制度の見直し案(答申)を提出しましたが、それはとんでもない内容のものでした。
① まず、スクリーニングの導入です。再審請求された段階でそれを審理するかしないかを決めてしまうもので、いわゆる門前払いを可能にするものです。
② 次に、証拠開示の範囲を著しく制限をしています。再審請求の際には新証拠を提出しなればなりませんが、検察側にはそれに直接関連するもののみ開示を認めるという、現在よりも狭めた内容となっています。例えば、先の福井の事件では新証拠に関連はしていない証拠によって目撃証言が間違っていたことが分かり決め手になったものですが、法制審の案ではこれらの証拠は隠され続けることになります。
③ 「再審開始」決定に対する検察官の不服申し立てが禁止されていません。これまでの再審制度の一番大きな問題が、時間がかかりすぎることだったのですが、これでは無為に時間が浪費され、冤罪えん罪被害者やその家族、知人の苦しみが長引かされるだけになります。
④ 開示された証拠の「目的外使用」の罰則付き禁止が明示されています。裁判以外には使ってはならないとのことですが、この制限は非常に問題です。弁護団だけでなく、支援者やマスコミが証拠の情報を知ったからこそ、袴田事件では5点の衣類の不自然さが解明され無罪に結びついたからです。
【弁護士北村栄の連載vol.9】高市自民党の圧勝による憲法9条の改正は
高市自民党の圧勝による憲法9条の改正は
-わずか80年前の6500万人の死者を忘れてはならない-
そして、小選挙区に限ってみれば、定数289中、自民は249議席、86.2%にもなるのですが、絶対得票率(有権者数に占める得票割合)ではわずか26.9%に止まります。中道改革連合も11.8%を取っていますが、議席数は7議席しか取れませんでした。
第1党が3割の得票で7割の議席を独占するという制度の欠陥がまさに表れた形となりました。有権者全体では、比例では64%が自民党以外の党を選んでおり、有権者全体では自民は20%台に過ぎないのです。
高市首相は憲法は「国の理想の姿を物語るものだ」と述べていることです。実際に10年以上前の衆議院の委員会で、高市氏は「憲法は権力を縛るものという考えを私は採りません。憲法は国家に権力を与えるものです。」と述べています。
そして、高市氏自身この改正案を「何度も何度も読み直して、もっとも好きなものなんです」と述べています。
従って、この自民党の12年草案がこれからの改憲諸党派の共同草案になっていくものと思われます。
この点、憲法学の木村草太教授が懸念するのが、改憲反対議員への圧力です。同教授は「『どっちにしようか」と迷っている議員に、政権の応援団が相当な圧力をかけることは十分に考えられる。ネット上では誹謗中傷のターゲットにされ、心理的に追い詰められる議員が出てくるでしょう」と述べています。
さらに、国民投票に至った場合も「支持率の高いうちに国民投票に持ち込めば、改憲を事実上の人気投票にしてしまうこともできます。当然、国民投票が否決された場合は高市氏の責任問題になりますから、『改憲案はよくわからないが、高市早苗には続投してほしい』という理由で賛成が広がる可能性もあります」と指摘しています。
本当にそうですね。私たちが今一番なすべきは、その人たちの思いを胸に刻み、身近な人から始め、多くの人と対話をすることだと思います。
そして今の私たちに最も必要なのは、小さな頃から我々愚かな人間を温かく見つめる根本的な哲学、ものの考え方を身につけることだと思います。その大きなヒントになるのが私が全力で復刻の労を取った「文明を問い直す」(梅津済美著)です。「我も人なり、彼も人なり」などの梅津先生の魂の叫びにぜひ触れて頂きたいと思います。
【重要】お昼の営業時間変更のお知らせ
2026年4月1日より、当事務所は下記のとおり電話を含めた窓口の営業時間を変更させて頂くことになりました。11時50分~12時50分の間は外部からのお電話が繋がりません。
ご不便をお掛けいたしますが、何卒、ご理解賜りますようお願い申し上げます。
【変更後の窓口営業時間(電話応対を含みます)】
平日 9時30分~11時50分
12時50分~17時30分
【弁護士北村栄の連載vol.8】原発の安全性に大きな疑問!
原発の安全性に大きな疑問!
-中部電力の浜岡原発「地震動」データねつ造事件-
この「基準地震動」というのは原発の耐震設計の全ての出発点となるもので、最も重要なデータになります。
そして、交通・物流の要である東海道新幹線、東名高速道路、新東名高速道路、国道1号線なども通っており首都圏と結ぶ要所にあります。また、西風が吹くことから首都圏への影響が大きく、首都圏3000万人の生命・身体・財産への影響は計り知れません。それ故、東日本大震災の時に当時の菅首相が運転を止めて今まで動かさなかったのです。
そして、発覚後の1月5日の会見でも「原子力部門の数名が関与している」との説明にとどまり、自社の調査では経緯や意図などは「まだ明らかになっていない」として、第三者委員会に調査を委ねるとしました。しかし、その第三者委員会も、その委員は規制委の勤務の経験者や原発訴訟で国の代理人として活動していた人です。
このように、中電の社内では組織の自浄作用は全く機能していません。
おっしゃるように、規制委の審査でデータがねつ造されたものだと見抜けなかったことが、より大きな問題だと言えます。すなわち、不正が2018年頃から行われていたのですが、2025年2月に公益通報が寄せられるまで不正を見抜けなかった規制委の審査の課題も浮き彫りになりました。
規制委の山中委員長は記者会見で「中電固有の問題」と述べ、また他の原発も規制委自ら調査すべきではと言われても、まずは電力会社の自主的な確認に委ねると発言をしています。
このように、規制委は電力会社から出されたデータをきちんと審査して結論を出したのではないのです。
多くの国民は規制委が合格させたのならその原発は安全だと理解しているようですが、そうではないのです。今回の事件でそのこともはっきり分かったと思います。
安全とは言えない原発の再稼働を容認してはなりません。
事務所ニュース 2026年1月号
【2026年1月号】
(*)ニュースの内容を見るには、上記画像をクリックしてください。
| [ 目 次 ] | ||||
|---|---|---|---|---|
| 『 新年のごあいさつ 』 | ||||
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『「いのちのとりで裁判」最高裁が生活保護基準引下げの違法性を認める ~国は、至急の謝罪と全面被害回復を!!』 |
弁護士 久野 由詠 |
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| 『HPVワクチン薬害訴訟をご存じでしょうか』 | 弁護士 小嶋 啓司 | |||
|
『戦後80年を迎えて』 「すぐそこにあった戦争」「世代を超え、戦争に向き合う」 『弁護士業務の承継について』 |
弁護士 稲垣 宏子 事務局 小林 和人 弁護士 佐久間 信司 |
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『所内で毎月ランチタイム勉強会を開催! ~人権問題を学び、積極的に取り組むために~』 |
弁護士 北村 栄 |
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| 『不思議な「国」、日本』 | 弁護士 加藤 洪太郎 | |||
| 『弁護士奮闘記』 | 弁護士 村松 健太郎 | |||
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『ひとりごと53 これからは自給自足の時代 ~我が家の家騒動の教訓~』 |
弁護士 野田 葉子 |
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『NPO法人あいちあんきネット主催 『本を執筆しました』 「日本社会をリビルドする」「働くあなたへ、伝えておきたいこと」 『表紙の写真より』 |
弁護士 川口 創 弁護士 中山 弦 事務局 安田 和仁 |
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【弁護士北村栄の連載vol.7】議員定数削減、本当にいいの?
議員定数削減、本当にいいの?
-民意の反映に大きく反する「民意を切る改革」にNOを!-
そして、実際にも、それ以外の削減する合理的な理由は挙げられていないのです。
選挙は、民意を国会議員の議席に反映させることを通じて民主主義を実現する制度ですが、選挙制度のこのような本質からすれば、できる限り民意を反映させる制度とすべきです。しかし、定数を減らしてしまうと、国会において民意の反映が後退するうえ、今回は比例代表選挙の議席が削減の対象として狙われていて、より影響が大きいのです。
実際に、2024年10月に行われた衆議院議員選挙では、全国の死票の数は2800万票(小選挙区得票の52%)を超えていたと報じられており、選挙制度を改定し、より民意の反映をさせやすい選挙制度とすることが急務となっています。
このような状況下で、より民意を反映させやすい比例代表選挙の議員定数を減らすことは、民意を反映させる制度とするべきという選挙の本質的要請に反するものであり、到底認められないのです。民意が反映されにくい選挙制度は、政治に対する国民の不信や無関心を助長させるものですので、是正されなければならないのです。
国会議員は憲法第43条で「全国民を代表する」と定められており、全国民の代表として行政を監視する役割も担っています。また、議院内閣制の下、与党の国会議員のうち一部は内閣に所属しない与党議員も行政の活動を支援する立場にあり、実質的には野党の国会議員が行政監視機能を担うことになっています。
第一次高市内閣では、大臣、副大臣、政務官、総理大臣補佐官の合計は80名以上ですが、議員の議席を減らすとなれば、内閣に所属する議員の割合が増えるとともに、相対的に野党議員の議席数が減り、国会の行政監視機能が弱まることが懸念されます。
一般の国民の思いは、特に自民党議員の裏金疑惑や汚職など、国会議員がその地位を利用して私腹を肥やし、国民の為に活動していないことに端を発した、国会議員が国民の収入に比して高い国会議員歳費等を受領していることに対する政治家不信の現れであると思います。
しかし、定数を削減したとしても、国会議員が身を切ったことにはならないし、これによって国会議員の裏金問題や汚職がなくなることもないのです。
一般に少数政党は国民の少数者の民意を代弁し、与党の裏金や汚職の問題を追及することが多いことからすれば、国民の多数が削減に賛成しているからといって削減をしてよいということにはなりません。むしろ、議員定数の削減は裏金や汚職の問題の追及を弱めることにつながりかねないのです。国会議員の定数削減は「身を切る改革」ではなく、一番大事な「民意を切る改革」に過ぎない、というべきでしょう。
実際に高市首相は、党首討論で、企業・団体献金の見直しについて問われた際、「そんなことよりも」と定数削減に話題を変えました。
私たちは、問題の本質をしっかり見抜いて、声を上げていかねばなりません。
【弁護士北村栄の連載vol.6】今こそ正念場、平和への希求を前面に
今こそ正念場、平和への希求を前面に
-ここまで来ている高市政権の軍拡の足音-
しかし、台湾は独立国でなく、中国の一部であると国際社会では理解されていますし、中国自身はもちろんのこと、日本もアメリカも公式ではそのような理解をしています。その中で、台湾を独立国としてその応援のために自衛隊が武力行使に出動すると述べたのですから、大変なことになったわけです。
ただ、アメリカは、高い武器を売って利益を得たいために、一定の緊張感を作り出すことはするわけで、それに乗せられているのが日本政府です。
非核三原則とは「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」という原則ですが、「持ち込ませず」について見直しを表明し、被爆者団体等からの強い批判が出ています。
まさに、今年は平和で二度と戦争や人権弾圧のない世の中を作る正念場の年です。 未来を見つめ、共にがんばりましょう!






