30sクロコダイルレザーのブーツ ライニング張り替えリペア⑥ | SOUVENIR REPAIR WORKS ―革物リペア―

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魅せられたアメリカンアンティーク・ヴィンテージに特化したレザーリペアブログ

表側のステッチを色付け。
綺麗な新品の色味ではなく、経年した元の色に合わせます。





全て完了です。
緊張感が長かった………!















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【リペア内容と価格詳細】.
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◆ライニング張り替え(革代込み)→25,000円×2
◆かかと辺りの破れ(裏補強)→2,000円 .
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◇52,000円+税
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I様、御依頼有り難うございました‼



最後に。

使用する革は、革屋さんで「使い込んでいけば元の雰囲気に近く馴染んでいきそう」と予想できる物を選びました。
(※お店で、合う革が必ず見つかるとは限りません)

新革同士を縫い合わせる部分には2ヶ所のみミシン縫いしましたが、あとは全て手縫いになります。

元のステッチ(縫い目)が非常に細かく、さらに革が劣化している為、再度同じ針穴で全て合わせるのは負担がかかりすぎました。
なので若干ピッチ(間隔)を大きく縫っています。

糸は、初めから染色すると裏側のステッチが茶色になり、筒の上からだと綺麗に真っ直ぐ縫うには遠近感が邪魔しズレた部分が目立つだろうと思い、生成のままでいきたかった。

元の状態も、表はブラウン系、裏は生成糸だった。
それはミシン縫いだからできること。上糸と下糸の糸を色違いができる。

しかし手縫いは、1本の糸の両端に針をつけ、8の字を描くように縫う為、色は1色しか使えない。

重要視する点をどうみるか次第なのですが、私の感覚では、覗き込める裏側のズレたりしているステッチが目立つのも、お客様自身的にもあまり良い風に思わないだろう、と思い、
表から調色した色を着けて「元の残っているステッチ糸と繋げた部分が目立たないように」もしました。

ナイロン糸では雰囲気が変わるので綿糸を使用。
毛羽立ち抑える、耐久性が上がるのでロウ引きしたかったのだが、色が乗りにくくなるのでせず、上から顔料を溶いた塗料で近いコーティングの役目にはなっているかと思います。

ミシン縫いとは違い、手縫いは1ヶ所が切れてもほつれが広がりにくいので、1930年代頃のブーツですが2018年にリペアをしたことで、また長く履いていただける仕上がりになりました。


そして後日、受け取って現物を見られたお客様からお電話が。 


「バッチリです、何も言うことないです。ありがとうございました!」と✨


ガッツポーズ‼ 良かったー‼‼ 

お腹の奥(胸の奥?)にクッと力が入ったままの、まだ安堵しきれない状態から、一番心地よく力が抜ける瞬間です。


安堵したとともに、とても勉強になりました。

有り難うございました‼


~SOUVENIR REPAIR WORKS~