本日はせと・しごと塾で起業家スキルUP講座を実施しました。


この通り、見事な晴天。蒸し暑い一日となりました。
今回は瀬戸蔵のいつもの部屋(産業支援センター)では収容しきれず、急遽パルティせとで実施することになりました。

メニューは、次の通りです。

1.思考フレームワークの解説
2.ブレーンストーミング・・・チーム名を決める
3.ブレーンライティング・・・瀬戸市内で働く場所を増やすには?
4.KJ法・・・「3」の結果を整理
5.セブンハット・・・瀬戸の新しい産業を考える

それでは、写真付きで講座の様子をお届けします。

1.思考フレームワークの解説
「アイデアがなぜ出てこないのか」という話を紹介しました。要因としては、次の4つが考えられます。

(1)個人個人で思考のクセがある
私は「契約書」に関する仕事もしているせいか、物事のリスクや問題点にどうしても目が行きがちです。これはまさに思考のクセです。それは仕方ないとしても、1時間考える中で50分を批判的に物事を見ていては前に進めません。これは意図的にコントロールする必要があります。今回のセブンハットが、まさにそのコントロールをする練習でもあります。7つの切り口で、批判的に考える時間はそのうちの1つに収めるという手法です。後ほどご紹介します。

(2)情報収集が足りない
アイデアを出すのに、単に情報不足であるということも考えられます。マクロ情報・ミクロ情報・競合の情報など。質的量的に情報が不足していることにより、アイデアが思いつかないのです。 

(3)一人で考える限界
周囲を巻き込みながらアイデアを現実のものにしていくことはとても重要です。特許技術など秘密を守らなければならない性質のものもありますが、複数で考えた方がアイデアが発展することが大半でしょう。現在起業相談を各所で受けておりますが、まさにこれは典型ですね。

(4)アイデア出しのツールを知らない
世の中にアイデアを出す手法というものは多く存在します。本日実施した「ブレーンライティング」も、例年通り経験者は「0」でした。セブンハットは、しごと塾の方は何回か経験した方がいらっしゃるでしょう。ツールを知っていれば、頭を切り換えながら様々な手法でアイデアを考えることができます。「起業の50ステップ」のテキストでは9種類のツールを紹介していますが、今日はそのうち4つを体験していただきました。

2.ブレーンストーミング
チーム名を決めていただくワークを行いました。このときに決まりを設けていまして、「メンバーの共通項をネーミングに入れる」ことと、「『せと・しごと塾』という言葉は使わない」というルールを置きました。そして出てきたのが下の5つのネーミングです。

Bチームの「みたかさちえの親知らず」は何だ???と思いますよね。メンバーの氏名から一つずつ取って作ったようです。これは初めてでしたね!

Cチームの「ネイチャーNANA」は、発表後に「ほぉ~~!!」という声が上がりました。氏名に自然に関係した漢字が入っていることが由来だそうです。これは驚きです。よく発見しましたね!NANAは「7期生」だから、ということでこちらも「ほぉ~!」でした。

「共通項を探す」という点がポイントです。共通項というのは、メンバーから聞き出さないと絶対に見つかりません。そのためにヒアリングが立て続けに繰り返されるのです。しかも時間が5分と短いので、スピーディーに、次々に質問をしなければなりません。これが起業と大いにつながってきます。顧客に対して上手に情報を引き出す「質問力」をつける訓練にもなっているのです。そして共通項が見つかったときの盛り上がり。講座の雰囲気作りにも必要な時間だったのですね。

3.ブレーンライティング
さて、チーム名が決まったら次のワークです。ブレーンライティング。3分間でアイデアを3つずつ出して、付箋に書きます。付箋を貼ったA4用紙を隣の人に廻します。受け取ったら、前の人が書いたアイデアをもとに、それを発展させていくというワークです。

アイデアの出発点が他人であり、普段使わない思考となることと、自分の考えを次の人に託し、アイデアが思わぬ方向へ発展するという2つの効果があります。


こちらが付箋を貼っている風景。最初のチーム名を決めるワークとは打って変わって、黙々と作業をしています。シートを渡した瞬間、爆笑or苦笑が起こることも・・・

仕上がりはこんな感じになります。付箋でいっぱいですね。

各チーム、発表していただいたものをまとめてみました。
たくさんあるプランの中のいくつかのおすすめを発表していただきました。

4.KJ法
次に、ブレーンライティングの流れを受け継いで、KJ法に移行します。
各シートの付箋を、今度は大きな模造紙に移し替えて、整理します。

カテゴライズや関係性の表示などをしながら、先ほどで体験を整理していきます。

そして発表です。とにかくプレゼンの機会が多いのがしごと塾の特徴です。場慣れすることにより、実際の交流会・商談の場面でみなさまに得をしてほしいと考えています。同じ機会が与えられたときに、チャンスをつかんでいただきたいのです。

5.セブンハット
お昼の休憩を挟んで、セブンハットを行いました。しごと塾では恒例ですね。よく知られているシックスハットの進化系で、昨年開発してみました。

セブンハット法とは、①テーマを決め、②それぞれのテーマについて、7つの帽子をかぶった場合のそれぞれ視点からアイデアを発想し、③これを繰り返して、発想していく手法です。
物事を考えるときに、一度に一つのことを考えるようにします。それによって、「論理」と「感情」と区別することができますし、「情報」と「将来性」を区別して考えることもできます。それぞれの帽子を身に着けることで、それぞれの時間は、考えることが一つになるということです。

それぞれの帽子は基本5分、最後のブルーハットだけ10分で実施します。
時間が短くてもアイデアがたくさん出てくるということを実感していただきます。

●セブンハット「7つの帽子」の説明
①ホワイトハット(白い帽子)・・・情報
(事実や数値等のハード情報、人の意見や感情などのソフト情報)
 ・どんな情報があるのか?
 ・どんな情報が必要か?
 ・どんな情報が不足しているのか?
 ・どんな質問をしなければならないか?
 ・必要な情報を得るには、何をしなければならないか?    

②オレンジハット(橙色の帽子)・・・他者貢献という視点
 ・他者への貢献、社会への貢献、環境への貢献
 ・他者、社会にとっての価値創造
 ・そのアイデアにより、誰が喜ぶか(ターゲット)
 ・理念、アイデアの目的、目指すべきゴールを確認
 ・従業員、取引先、関係者の喜びを創造    

③イエローハット(黄色い帽子)・・・ポジティブな視点
 ・プラス思考、楽観主義
 ・アイデアの利点、アイデアから得られる利益は何か?
 ・事実または調査に基づかない積極性
 ・アイデアの強化
 ・建設的な提案    

④ブラックハット(黒い帽子)・・・問題点、リスク
 ・注意深く、慎重に、批判的になる
・問題点、克服困難な点を指摘する
・規制の範囲内にとどまる
・価値観や道徳に従う
・経験に当てはまらないのはどういった点か?
(注)ブラック以外の帽子の時間は、批判的な態度は慎むこと    
 
⑤グリーンハット(緑の帽子)・・・革新的な視点、ムーブメント
・新しいアイデア、新しい代替案・選択肢
・変化を求める
・問題点への新しいアプローチ
・どのようにしてリスクを乗り越えられるか
・刺激的、極端な操作(Provocative Operation)    

⑥レッドハット(赤い帽子)・・・感情
・中立かつ客観的な情報(白)とは正反対
・直観、予感、印象
・正当化の必要なし、理由も説明不要、論理的でなくてもよい
・個人個人があるがままの感情を表現する
・最後の決定はこれによるものが多い(情緒)
(注)アイデアの変更はしない    

⑦ブルーハット(青い帽子)・・・まとめ的な視点
・目的の再確認
・他の帽子をコントロール
・マップメイキング(まず地図を描き、ルートは後で)
・まとめるための正しい質問をする
・問題点を明確にする
・要約と結論、結果の報告     

セブンハットにより、次の4つの成果が期待できます。
①結集する力・・・メンバー全員が同じ視点で、同じ方向を向いて力を結集することができます。例えば、ホワイトハットで事実や情報の入手について話をしているときに、それについての懸念(ブラック)や感情論(レッド)が出ないので、話の腰を折ることなく皆の力を結集することができます。
②時間の短縮・・・一つの意見に対してその都度賛否を問うのではなく、同時並行で意見を出していくので、間違いなく会議の時間は短縮されるでしょう。対立した意見も、そのまま取っておけばよいのです。アメリカの管理職は、業務の40%を会議に費やしているというデータもあります(”Six Thinking Hats” Edward de Bono)。
③エゴの排除・・・会議の中で特定の人、企業では地位の高い人のエゴが、参加者全員の時間を無駄にするだけでなく、結論を誤った方向に導いてしまうことがあります。相手に自分の力を誇示し、また、敵意を見せるために「議論で打ち負かそう」というエゴが発生します。シックスハットはこれを排除し、中立的で客観的な問題探求を促す効果があります。
④一度に一つのこと・・・同時に複数のことをするのではなく、危険を見つけることに焦点を合わせる時間があり、情報に焦点を合わせる時間を別々に設けることにより、メンバー全員の集中力を高めることができます(「6つのボールをジャグリングすることは困難」”Six Thinking Hats” Edward de Bono)。

今回は、「瀬戸の新しい産業」をチームで立ち上げてください。というお題にしました。それでは、ワークの様子をお届けします。

今回はいつものようにホワイトボードが確保できませんでした。5チームありましたので、模造紙を壁に貼り、ペンで意見を書いていただきました。

こちらは途中ドッカンドッカン爆笑が起こっていましたね(^^)

このチームは文字が小さく、情報量が充実していますね。

さて、以下はワークの結果です。出来上がりをご覧ください。
これ、5分×6+10分×1で、40分のワークの結果です。






そして発表風景です。






こんな感じで、各チーム発表していただきました。これで今日のメニューはすべて終了です!


*本日の講座の内容をまとめたホワイトボードです。意識して丁寧に書いてみました。

セブンハットのアイデア出し記念にこんな写真も!

今回の講座がいつかどこかで役立てばと思います。

時間を有効活用すること、会議をしている時間は、参加している皆の時間も使っているので、短時間でより有益な議論ができると素晴らしいですね。

しごと塾は、これから事業計画のグループワークも始まります。みなさまにとって実りある経験となり、かつ楽しい時間となればと思います。

今日はみなさまの素敵な笑顔をたくさん見ることができました。
また次回の相談日や講座でお会いできるのを楽しみにしています!

ご参加ありがとうございました。
ヘルプで参加して下さった高橋さん、湯浅さん、斎藤さんありがとうございます。

そして細かい準備の指示を完璧にこなしてくださった内藤さん、事務局のみなさま、本当にありがとうございました!