10/17 は、せと・しごと塾で毎年恒例のプレゼンテーション講座でした。 
「せと・しごと塾の人は自己紹介が上手ですね~!」と 言われるのが、私にとっても嬉しいことで、このプレゼン講座で大きく意識が変わる方もいらっしゃいます。
 
☆第1部「プレゼンに説得力をつける 3つ の方法」 

1.プレゼンの場と意識する
まず、様々な場面が「プレゼンの場」であることを意識することで、同じ時間を何となく過ごすか、他者の話をきちんと聴き、自分の意見を表明する場にできるかどうか、変わってきます。

(1)ディスカッション・・・審議会、社内会議、町内会の会合
(2)プレゼンテーション・・・自社サービスの提案、意見表明、勧誘活動全般
(3)ライティング・・・提案書、ホームページでの商品販売

文字であっても「プレゼン」です。ちょっとしたアピールが何か成果を生むかもしれません。先日のIT講座でも触れましたが、「電子メールの末尾署名欄(フッター部分)」だって、一つのアピールポイントになります。


2.説得するための3要素
論理性だけでは、人を説得できません。過度にロジカルだと、冷たいイメージを持って、反発を感じる人も多いからです。
(1)Ethos イーソス・・・社会通念、常識、道徳観、理念、人間性、気質、社会的地位
(2)Pathos ペーソス・・・哀れみ(情に訴えるもの)
(3)Logos ロゴス・・・正当な根拠、論理性、一貫性

Pathosの使い過ぎは、営利事業ではいけません。KIVAやグラミン銀行など、社会起業家としての事業ならともかく、普通の営利事業でここをアピールしても、肝心のサービスが顧客に価値を与えないと商品・サービスは売れないでしょう。


3.論理性のトライアングル
「主張」に対し、「根拠」と「事実」を組み合わせることができると、聴く人は納得してくれますし、とてもイメージしやすいプレゼンとなります。特に事例は大事です。デール・カーネギーの「人を動かす」などの名著は、主張があったら、必ず事例が入っています。そのおかげで、主張の説得力が増しています。

(1)主張・・・相手に言いたいこと
(2)根拠・・・説得力のある理由、裏付け
(3)事実・・・実際に起こっている事実、統計、専門家の見解など

「主張」を支える「根拠」と「データ」が、論理性を付与し、主張に説得力を持たせることができます。逆に根拠や事実を示さないと、相手が納得する主張ができません。

私も話をするとき、事例を出さない状態で聴いている人たちがあまり反応がない、心から納得をしていない表情だと感じたら、最も説得力を持たせることのできる事例を一つ出してみようと、頭をフル回転させます。


4.説得ワーク「ラーメン屋を開業したい!」

 
さて、ここで、恒例「ラーメン屋」のワークです。脱サラしてラーメン屋を開きたいのですが、奥さんをどのように説得するか、という作戦をチームで練っていただきます。

こちらはワークの結果です。

実はお金をコツコツ溜めていた。普段から奥さんに食べてもらい、合格点をもらう、著名なラーメン店に修行に行く、などなど。いろいろな意見が出てきました。そのためには、やはり「起業の準備」が重要ということで、みなさまに意識していただけたかな、と思います。

これらの意見を先ほどのフレームワークに当てはめて出してほしかったのですが・・・
主張「ラーメン店を開業したい!」ということの一つとして「奥さんを説得」という課題があります。「なぜ私がラーメン店を開業しなければならないか」という根拠、そしてそれを補強する事例を示すことが必要で、これを整理してほしかったのです。 

「主張」「根拠」「事実」ですね。

そうすると、「僕がラーメン屋をやらなきゃいけない理由は5つあるんだよ。それはね・・・」などという、ロジカルな説得が可能となります(もちろん、自分自身の頭の中も整理できます)。

あと、これは面白かったのですが、Pathosの要素を出したチームが一つもありませんでした。「会社のブラック企業振りがネットでも話題になっている」など、同情を誘うような説得も、今回は一つくらいあった方がよいかもしれません。先ほど紹介したE・P・Lでまとめると、こんな感じです。

Ethos・・・人としての信頼、素晴らしい理念、信じられる行動、日頃の行い
 なぜラーメン屋をやりたいか、そのためにどんな準備をしているか、など。
Pathos・・・会社がひどい、仕事がない、心身共にボロボロ
 深夜労働で休暇もない、ブラック企業でひどい、など。
Logos・・・ラーメン屋をやっていける根拠、なぜラーメン屋を選択したか?
 事業計画を綿密に練り、初年度から黒字をたたき出せる、など。

「ラーメン屋やるって、あなたカップラーメンしか作ったことないじゃない!」などと言われては説得力も何もないわけですね。日頃の行い、とても大事ですね!


5.グループワーク「メンバーの商品を売り込もう!」

 
次は、チームのメンバーの商品を売り込む方法を考えます。自分ではなかなか「褒める」ことができませんよね。メンバーが代わりに褒めてあげることにより、商品(サービス)を、より売れるものにしてみよう、というワークです。もちろん、その商品のどこが良いのか、なぜ購入しなければならないのか、という理由付けや、「買ってみて、こんなに感動した!」などの事例が必要となります。

*スライドの例に挙げているのは6期生内山さんの「クレイジェンベ」。アフリカの太鼓「ジェンベ」を木ではなく陶器で製作したものです。

   メンバーの商品を売り込むためには、まずヒアリングが必要ですね!
一人10分を取り、40分のまとめタイムを用意しましたが、それではまだ足りないほどしっかりヒアリングをしていただきました。素晴らしいですね。
  

和やかな雰囲気でメンバーの長所を引き出していきます。
 
他のメンバーの商品を売り込むので、しっかりメモしてプレゼンの準備をします。 

これが発表のまとめ。私のなぐり書きですが・・・
みなさまの発表を聴いて、「ふ~ん」だけで終わってしまったものもあれば、「それはすごい!ぜひ商品を買ってみたい」と思わせる発表もありました。「説得力」を持たせるには、やはり主張-根拠-事例のトライアングルがきっちりかみ合ってないといけません。

「何とかメンバーの商品の良いところを引き出そう」としているので、自然とみなさんの表情も明るくなります。

*「もっとお前の商品の売りはないのか!」などと詰めてしまうと、最悪の雰囲気となりますが、せと・しごと塾では、それはまずありません。
  

こちらは休憩時にいただいたハーブティー。


休憩時間は、6期生柴田千佳さんによるカラーセラピーハーブティーの試飲会。しごと塾では、簡単なFeasibility Studyをしようと思えば、こうやって「お試し」の場を設けることが比較的容易です。本格展開する前に、塾生さんの反応を見て、アンケートも書いてもらい、商品のブラッシュアップをしていきます。

ちなみに前回シックスハットを行ったとき、5期生森永さんの「INICコーヒー」は、ほぼ参加者全員が試飲した後「お買い上げ」となりました。これはプレゼンのパフォーマンスが素晴らしかったからですね!

 私は「青い色のハーブティー」が大変気になりました。食品系では青い色は何か着色料でも付けないと実現しないのでは?と思っていたので、驚きでした。喉によい、ということで、2杯いただいてしまいました。(そのおかげか、翌日も今も喉が絶好調です!いつも1日の講座の後は喉が痛いのですが)
 
  発表風景です。ご自身の事業のことをアピールしていただいているのですが、自分が聴いても「全然売りが伝わってこない」ことがよくあります。その場合は、伝え方(伝わり方)をしっかり検討し、口コミが広がりやすいように仕掛けを考えなければなりません。もちろん、商品・サービス自体のブラッシュアップも必要でしょう。
  
 
6.プレゼンと「準備」
話は前後しますが、後半のメニューは「プレゼンと準備」です。
(1)5W1H
(ⅰ)Why目的は?
名刺交換の目的は? プレゼンの目的は?
目的意識のないプレゼンは、フリートークで終わってしまう。きちんとメッセージが届いたかどうか、事後の確認をする。

(ⅱ)Whom誰に?
どのような人が聴くのか? 経営者か主婦か、それとも??対象が誰かによって、話す内容は違ってくる。

(ⅲ)What何を?
何を話すか? それは、聴く人にとって興味があるか?自分が話したくても、聴く人が興味のないことは「捨てる」。

(ⅳ)Howどうやって?
どのように、話したいことを伝えるか?
最も効果的に伝えるには、どのような手段をとるか?

(ⅴ)Whenいつ?
いつプレゼンするのか? 話の内容はタイムリーか?
ランチタイムの後、13時過ぎは、「魔の時間」。聴く人が眠りに落ちやすい。

(ⅵ)Whereどこで?
どこで話すか? 話すことは、その場に相応しい内容か?
また、機材や設備の確認をしておくことも重要。

たとえば、(ⅴ)(ⅵ)に関連して、ランチタイムを挟む講座を都市部で行う場合。私の近くで言えば、名古屋駅付近で行う場合、お昼休憩をピッタリ12時に取ってしまうと、ランチの行列に並ばなければならない確率が一気に上がります。当然受講者はゆっくりランチできないし、時間に間に合うか、ハラハラしなければなりません。だから、11:45くらいに終わるのが得策でしょう。ついでに、トイレ休憩もゆったりしておいた方が良いので、11:45に休憩に入ったとしても、再開は13時など、少し余裕を持たせます。あと、午後の最初の休憩は、スタート1時間を目安にします。これもまた、トイレ休憩を考慮したものです。これは、今まで数百回講座を担当してきて感じた私の結論です。講座の時間、場所によって、スタイルを変えなければならないということです。

(2)結論は何か?
(ⅰ)結論がなかなか見えないと、イライラする
(ⅱ)結論がおかしいと、不信感を持つ
(ⅲ)結論が筋道立てて説明されないと、納得しない
(ⅳ)結論が反社会的なものであれば、敵を作る

こちらも、例を出して説明させていただきました。
私が大学時代4年間京都に行って学んだことが、まさにこれ。結論、つまりオチのない話をすると「じぶん、オチないやん!」怒られるというのが新鮮でした。関西のみなさんは、きちんと越智を考えてから話をするということを初めて知りました。これはDNA、環境でしょうね。これを習得してから、かなりコミュニケーションが円滑になった気がします。(京都に行って良かった!)

(3)話の組み立て
(ⅰ)「主張」をしたら、「説明責任」を伴う
(ⅱ)「主張」を補強する「根拠」「事実」
(ⅲ)「オチ」をうまく作れなければ、思い切ってその話は削除

自分としては話をしたいけれども、主張したいことを補強するわけでもなく、「まさに余談」というものは、喋りたくても話をしないことにしています。グッと堪える感覚ですね。これもまた、今に役立っています。

(4)時間配分
(ⅰ)最も主張したいことに、最も時間を割く
(ⅱ)枝葉を削除
(ⅲ)1人の5分は10人の50分、貴重な「時間感覚」を

プレゼン講座は、10時から16時までの講座でした。参加者のみなさまの6時間×15名=90時間、という時間感覚を私も持っています。それだけの時間を割いていただいているので、「本当に参加して良かった!」と思っていただけるような時間にしようとあれこれと準備をしてきました。いかがでしたでしょうか?

(5)事業自体のブラッシュアップ
(ⅰ)プレゼンテクニックだけでは、事業にならない
(ⅱ)自分の夢、目標に、他人を巻き込めるか?

「引き寄せる力」、大事ですよね!

(6)資料の作成
(ⅰ)スライド 見やすく、28ポイント以上、映像の利点活用(アニメーションなど)
(ⅱ)実演   身振り手振り、小道具、商品紹介、試食、紙芝居、朗読
(ⅲ)配付資料 スライドと同じにするか、別にするか? 配布する目的は何か?

産業課の内藤さんも、遠い場所から8ポイントの文字、少し読めましたね・・・視力2.0以上なのでしょうか。でも、そんなに小さい文字をスライドで使用してはいけません。正確に言うと、配布資料なしでそのような小さい文字を使ってはいけません。見る方はイライラします。

(7)プレゼン終了後
(ⅰ)成果と反省
(ⅱ)次回以降の対策

私も必ずこれをやります。良かったところは、次回以降も活かすようにします。

(8)プレゼンを効果的に「聴く」ために
(ⅰ)プレゼンターとの接触
(ⅱ)アンケートを書くときは「批評家」になるな!
(ⅲ)IT活用でつながる方法
 
こちらは、逆に「プレゼンを聴く」側で考えてみました。講師とどのようにコミュニケーションを取るか、です。私もよくやるのですが、講師の著書を予め読んで、セミナー時にサインをいただくことがあります。悪い気はしませんよね?

そして、アンケートは「評論家」になっても、何も得をしません。
講師と主催者を敵にまわして、みなさま何の得がありますか?
本当にダメで、「二度とそんな講師会いたくない」、「二度とこの主催者と接触しない」ということだったら、そう書けば良いと思います。しかし、そうでなければ、言葉でのコミュニケーションを上手に取るのが良いことは間違いないでしょう。

また、無記名でも敢えて記名することもあります。これもまた、コミュニケーションです。私が講師をして、主催者が無記名でアンケートをお願いするとき、数%の方は記名されます。記名された方は、全員講座を真剣に聴いていただき、それがアンケートに書かれている文章を見れば一目瞭然です。

というわけで、プレゼンを聴いたときも、ぜひみなさまにチャンスをつかんでほしいという思いで、このような手法を紹介しました。


今年のプレゼン講座も、途中のハーブティーで和んだ雰囲気もあり、とても楽しく終えることができました。反応を見ていると、「きちんと自社商品の売りを説明できるようにならないと!」と、主催者の意図も十分通じている様子です。

名刺交換、ホームページ、見込み客との商談、それにセミナー参加時など、みなさまのプレゼンの機会は山ほどあります。その一つ一つでしっかり種まきしていただき、大きな成果・小さな成果を積み重ねていってほしいものです。

最後に一つ、事例を紹介します。

☆セミナー参加からチャンスをつかんだ例
起業前にセミナーに参加したAさん。講師の話は素晴らしく、でも名刺交換をする勇気が出ずに、講義終了後、会場のフロアのエレベーターまで来ました。しかし、私が「セミナーは、講師と名刺交換までして価値がある」と言っていたことを思い出してくれて、講師控室のドアを恐る恐るノックしました。すると、控室まで来たのは一人だけで、その後30分!も話をすることができました。さらに、後日「○○の案件でお手伝いいただきたいのですが・・・」と打診があり、それがAさんの初仕事となったのです!

プレゼンの機会は、Aさんに当たり前のように与えられていたわけではありません。それは他の参加者も同様です。Aさんが自分でプレゼンの機会を創り、そしてチャンスを得て、成果に繋げました。私もここで紹介するくらい、嬉しい事例の一つです。

ぜひみなさまも、世の中に溢れているプレゼンの機会を「機会」と捉え、考え、行動に移していただきたいと思います。徒手空拳、猪突猛進ではいけません。きちんと「準備」をすることです。相手を知り、そして自分のことも・・・

みなさまの事業の売りは、何ですか???