秘密保持契約というのは、文字通り秘密を守ってもらうための契約です。口約束では言った言わないのトラブルになるので、書面にします。それが秘密保持契約書です。


「最初から相手方のノウハウを奪ってやろう!」とばかりに積極的なアプローチをかけられ、その相手方が契約書を用意してきた場合、秘密保持契約書の中身は実に軽くなっているものです。


以下によくある落とし穴を列挙します。


1.秘密保持義務がなぜか相手方にない

むしろこちらから開示する秘密情報が多いにも関わらず、相手方は秘密保持義務なし。こちらは縛られる。一方的な契約書です。契約書を一目見て気づかなければなりません。もちろん、こちらから開示する秘密情報が全く存在しないということであれば、一方的であることは仕方ありません。


2.期間が短く設定されている

秘密保持義務が1年のみ、など、それを過ぎたら相手方の秘密を自由に使えてしまうような契約書です。これは過去に見てきました。実際1年経過して、競合する事業・商品を展開する事例も見られます。それが秘密情報にあたるかどうかは揉めるところですが。ただ、揉める要因を最初から少しでも減らしておく工夫はできるでしょう。


3.契約解除されてしまう条項がある

「1か月前に文書で通知して契約解除できる」などという条項です。秘密保持契約書で正当な理由なしに解除されると大変なことになります。相手方の秘密を勝手に使いたいので、1か月前に「解除します」と言えばよいことになってしまいますので。


4.実際に開示している情報が秘密情報扱いになっていない

例えば、「○秘」マークが入っていないことを理由に「秘密情報ではない」と主張されることもあります。契約書も大事ですし、実務上の取り扱いも気を配る必要があります。


以上、いくつか注意点を紹介しました。ケースバイケースで、秘密保持のために従業員(退職者)や外部委託先から誓約書を取るなど、もちろん他にも注意すべきことはあります。秘密保持契約については、経済産業省の下記のサイトが詳しいです(契約に関する企業研修でもこの資料を紹介しています)。経営者の方は、ぜひ一度ご覧ください!


☆「営業秘密 」(経済産業省)