初めての作家さん。

有名ではあるのだけども、読もうと思ったことはなかった人。笑

でもこのお話は、面白そうと思って手に取りました。


誘拐事件が起こった。

誘拐サイトを通じて発表された人質は、

なんとホームレスの男6人。

「この人物を使ってある実験をする」という宣言のもと、

テレビ局や新聞社に数億の身代金を要求する。

本来は「取り戻したい」と思われる人が人質で、

そう思う人に身代金は要求される。

犯人の目的は一体なんなのか。

というお話。


犯人グループ、警察、身代金を要求された各社、週刊誌の記者と、

いろいろな目線からのシーンが描かれています。

事件が進むに従って、世間の反応や意見も変わってくるんだけど、

それこそが犯人グループの望むことだったのかな。

週刊誌の記者・簑山が最後の方に編集長と話した言葉の通りではあるんだろうけど、

それを「考えさせること」が最大の目的だったのかなと感じました。


エピローグはちょっとニヤニヤしちゃったな。

鈴村さん、もう分かってるよね。

他のみんな、鈴村さんが分かってることを分かってるよね。

鈴村さんが清濁併せ呑む感じなのも、いろんなものを見てきた定年刑事ならではなのかな。

ただ、最後にあのセリフで終わるのがちょっとしっくりこなかった。

「さて…と。ほんとに美味しかったです、ごちそうさま」

みたいに、関係ないひと言で終わらせる方が好きだなー