結構好きな作家さんです。
でも久しぶりに読んだ気がする。
すごい心温まる感じの話と救いようがないような話があるようなイメージがあるんやけど、
この話は後者のタイプです。

 

幼い頃に死にかけたという経験をもつ主人公・晄。
「死にかけた」と簡単に言うけど、事故とか病気とか、そういうことじゃなくて、
もっと壮絶で、絶望的な感じ。
そして、母親は死んで、父親は人殺し。
母の伯父夫婦に引き取られてなんとか生きていくことはできてるけど、
伯母には冷たく扱われ、同級生にはいじめられていた。
でも晄は、その状況も普通に受け入れていた。
というより、それを拒むのも面倒だったのだ。
自分の人生が面倒、そんな感じ。

 

そんな晄の人生を追いながら、晄の孤独と、ほんの少し見える光になりそうな部分と、
でもやっぱりすごい闇の部分とを、描き出していくお話です。
最後の最後、思わず「えっ!!」と声を出してしまうようなラスト。
でも晄の立場で考えてみたら、そうか、そうなるのか、と一応(笑)納得。

 

なかなか後味の悪いお話です。