武道館で、欅坂46を観た。

何度か欅坂を観て、毎回どこか引っかかっていた。
確かにみんな可愛いけれど、果たして彼女達をアイドルと表現するのはふさわしいことなんだろうか、と。
アーティスト、表現者、色んなモノに当てはめてみたが、イマイチ釈然としなかった。

が、今日分かった。

欅坂46はヒーローだ。

戦争が終わり、敗戦国として絶望に立たされた日本。瓦礫を前に、それでも上を向いて未来の為に、希望を持って生き抜き働いた。
高度経済成長を経て、バブルを経験し、それがはじけ、令和になった。
SNSとAIのお陰でとても便利になった。
時短で合理的で超クソッタレな時代になった。
俺は、未来に絶望しか感じない。
この先、もっともっと便利で時短で合理的な時代がやってくるのかと思うと、この先を生きていく子供達が不憫でならない。

そんな時代に生きて、その不安や憂いを言葉に出来ない、行動に起こせない。
何かに怯えているが、何が怖いのかも分からない。
そのような思いを、欅坂が代弁してくれる。
ステージ上で表現してくれる。
世間に吐き出してくれる。

正にヒーロー。

親鸞上人の悪人正機を思い出した。
善人はどうせ極楽へ行ける、むしろ救ってやるのは悪人の方なんじゃねぇか?
毎日楽しそうにキラキラした人は放っておいても良い、辛くて苦して限界ギリギリの人にこそ、アイドルは寄り添うべきなんじゃないか。
それが、ヒーローという存在なんじゃないか。

時代と欅坂がぴたりと当てはまる。

武道館満員の客席のうねりは、欅坂本人達もどうすることも出来ないくらいに大きく強力だった。
一瞬でも気を抜けば飲み込まれるような巨大なうねり。
その激流の中に立ち、新しい時代を切り開いて行って欲しい。

それをやれるのは、
今は欅坂46しかいないと思った。