「自分の花を咲かせて」 | 第二回日本の看取りを考える全国大会

第二回日本の看取りを考える全国大会

   自宅幸せ死を勧めていくために

◇3月4日
「癌末期の相談者さん、娘さんにお母さんの最期の幸せを考えてあげてほしいね」 「無理です。忙しすぎて自分の幸せを考えている人すら少ない。皆が病院で死ぬ時代、特別な事では無いですよ」最期の時愛されていると感じて頂きたいと思うのは間違いだろうか?娘さんに分かって貰うにはどうすれば良いか

◇3月5日
日も皮膚癌で余命宣告された里子さんと病院で面談。彼女の尊厳を最優先できるお話になりますようにと祈りながら行く。何も持たない私だから、この身にマザーテレサの愛を表現し、モナリザの微笑みをたたえて。 神様、柴田をお使い下さいと深く祈る。この雨の一粒一粒が神の愛なのだから彼女の最期の幸せを!

◇3月7日
緩和ケアー病棟に皮膚癌末期の里子さんの許に。彼女の手を両手で包み、2時間。初対面の私の手をとったのは彼女の方から「私の墓は新たに永代供養のお寺をみつけて欲しい。体は直接、葬祭場に運んで欲しい。」と。 長い時間の後に私が立ち上がると「行かないで。ここに居て」と叫んだ彼女の孤独を抱しめたい

◇3月16日
緩和ケアの患者さんの娘さん。彼女は仕事を止めて母の傍に居る。余命の無い母に「早く逝けば良いのに」とぶつけてしまう彼女の辛さ悲しみ孤独を思う。たった一人では一人の人の命を支える事など出来ない。親孝行の彼女に言う。甘えて良いのよ。弱音を吐いて。人は人に支えられて初めて人になるのだから

◇3月19日
緩和病棟に行く。Drからこの土、日と言われて「柴田さんが月曜日に来てくれるから待とうね」と励まし続けていたと言う。今朝患者様の生がある事に胸をなでる。私が行く事で彼女の生が終わるとしたら、私は永遠に行きたくないと彼女の安らかな生を祈る。愛している 里子さんは買い物が好き、おしゃれが好き、海外旅行が好き、友達が好き料理上手。離婚も経験。彼女がとってもステキで愛しい。あなたの人生はあなたしか創れない、荒い呼吸の中で酸素も外しもう逝きたいと言う。 最期に仕事を止めて母を看る娘の名を呼ぶ。里子さんは今、最愛の娘の手を握る

◇3月20日
今彼女は娘さんの手を握りしめ旅立ちました。娘さんの魂に良い心に、青い空に鳥の声に彼女の愛が重なります。素晴らしい彼女の存在にありがとうございます。空の青さは彼女の美意識を重ねた私の目に美しく。

◇3月21日
里子さんのお葬式。山陰の曇り空が今日は、彼女の心そのもののように太陽が眩しい。お彼岸の旅立ち。最期まで娘と息子に手を握られ命のバトンを受け渡して逝った美しい里子さん。50代の若さ。自分の墓は子供達にお掃除やお参りの世話を掛けたくないと潔い。魂のオレンジの毛糸がしっかりと彼女の腕に。

◇3月25日
先日旅立った里子さん(54歳)のお家に。離婚した元旦那様が娘さんと整理をされていた。里子さんは娘、息子に手を握られて彼女の命のバトンを渡しての幸せな旅立ち。娘さんに「偉いね。なかなか出来ない事よ」と言うと彼女は事も無げに言う「当たり前の事です」娘さんの傍らに里子さんの笑顔が見えた