~太陽のように生きて~ | 第二回日本の看取りを考える全国大会

第二回日本の看取りを考える全国大会

   自宅幸せ死を勧めていくために

白鳥の夫婦がゆったりと水をたたえた大川のほとりに羽根を休める。ボランティアさんと私、幸齢者様の御家族と、いつものように今日もパンをやる。まず、白鳥の奥さんが食べ、そしてその夫が食べるといういつもの光景。

「白鳥は偉いね。子を産む女性を大切にすることを知ってる」

みんなで笑いながら、そんなことを話す。

なごみの里で預かる幸齢者様は御家族の介護力が何らかの事情により低い場合のみだが、松江なごみの里は島とは違い、家族の方にも介護を担って頂いている。それは最期の1%の幸せを全うして頂くためだ。私は松江でも、何度も、私が尊敬するマザーテレサの言葉を借りて、こう言ってきた。「人生の99%が不幸だとしても、最期の1%が幸せならばその人の人生は幸せなものにかわる」と、、、、。

ヨシさん(79歳)、御主人の一男さん(83歳)。いつもヨシさんのために、家庭料理を必ず1品自分で作って大切そうにポケットに忍ばせて来られる。

「家内が元気な頃は台所に入ったことないんですよ。今は得意ですよ。家の味を忘れて欲しくないのでね。悪く思わんで下さいよ。ここの料理に不満がある訳でないですよ」と、その笑顔が何とも美しい。毎日決まって夕方5時半に里に来られ、物言えぬ寝たきりの妻に尽くされる一男さんのお姿に、私達は「こんな夫婦でありたいね」と話す。

ヨシさんの食事用のテーブルの横、古いタンスの上に飾られたお二人の若き日の写真。白い花柄のワンピースを着たヨシさんがコスモス畑で微笑む横で、一男さんの若く凛々しい姿が美しい。お二人で向き合って食事をなさる時、きっとお二人の思いは若き日の輝かしい思い出の中にあるのではと思うほどに仲睦まじい。そのお二人のお姿に、身体に障害があったとしても、心まで病むことのない人間の強さを思う。

一男さんの存在は、今、奥様にとっても、そして私達にとっても、太陽のように心に温もりを届ける。最期のその時まで、太陽のようにあれと教える幸齢者様に感謝 合掌