原田マハ 「楽園のカンヴァス」(その3) : 1906~10年 | 面怒宇九斎のブログ

原田マハ 「楽園のカンヴァス」(その3) : 1906~10年

原田マハの「楽園のカンヴァス」の3日目です。


第7章のイニシャルが「C」ならば並べ替えれば「Picasso」に、「N」ならば「Passion・情熱」が鍵になるのか…。



第7章  天国の鍵  イニシャル「無記入」だった。



第7章にはティムの読んだ古文書の余白には先に読んだ織絵の涙が…。その涙で浮き出た文字は…? そして古文書の裏表紙、赤茶色の革の想定の上の本の所有者の刻印があった…その名前を見て…。



一応、ミステリーなので「これ以上はネタバレ」になるので、本をお楽しみください。




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ピカソと言えば前衛画家のイメージが強く



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こんなイメージの画家だと思っていた。



随分前になるが、ニューヨーク近代美術館(MoMA)を訪ねてピカソコーナーを見てみると昔からの画風の変遷がよく判る。



この物語「楽園のカンヴァス」は遠近法も理解していない日曜画家と揶揄されたアンリ・ルソーが、ピカソに前衛画法の啓示を与えたとの前提で描かれている。



事実上の相関図でピカソは中古キャンバス屋でルソーの1895年作の「女の肖像」を入手し、それを大事に生涯抱えていた。そして1907年に「アビニヨンの娘たち」を知人だけに見せ、周囲から不評をかった。

しかし、それを機会にピカソの「青の時代:1901-1904」、「ばら色の時代:1904-1907」、「アフリカ彫刻の時代:1907-1908」、「セザンヌ的・分析的・総合的キュビスム(超現実主義的)時代:1909-1918」…「ゲルニカの時代:1937」と時代の変遷と共に画風を変えている。



昔は、カンヴァスを買うにもお金に困った貧乏画家は、誰かが書いたカンヴァスの上に、自分の絵を上書きした。 ピカソが中古カンヴァス屋で偶然ルソーの「女の肖像」の中古カンヴァスを手に入れたエピソードが書かれている。



そしてこの物語の肝は「夢をみた」の下絵にピカソの作品が隠されているのは…というのがミステリーの伏線なっている。




最後の場面はニューヨークのMoMAに向かった織絵は、自らの封印(鳥籠の中)から(又は鳥籠の向こうにいる鳥として)、大きな青空に飛び立つかの様な…そんな締め方で小説は終わる。



それにしても面白い本だった。



出来れば、成長した真絵を主人公にした続編を勝手に夢見て3篇の読書感想記を終わる。


=The End=