今日からスタジオジブリの映画『コクリコ坂から』が公開になるが
監督の宮崎吾朗を語る上で
ゲド戦記 』は避けては通れないだろう。


2006年に公開された「ゲド戦記」の制作発表で
宮崎駿の息子が監督をすると聞いた時
僕は、いかにも鈴木敏夫プロデューサーらしいなと思った。

宮崎駿作品のファンなら、
彼の息子がどんな映画を作るのか
興味をそそられないワケがない。
長嶋ファンが、息子・一茂に父親の幻想を抱いたように
天才・宮崎駿をどうしても重ねてしまう。
宮崎駿が初めて長編アニメ(カリオストロの城)の監督をした時と
年齢的にもピッタリだ。

「宮崎の息子の映画」
なんてキャッチーな売り文句だろう。
鈴木Pならでは発想だ。

プロデューサーの仕事は
映画を興行として成功させることにある。
もちろん素晴らしい映画を作ることは大前提だが
どんなにいい作品だったとしても
お金にならなければ映画は作り続けられない。
まして、今やジブリ作品には
日本映画、いや日本経済を揺るがすほどの影響力があり
直接、間接問わず背中にはたくさん企業を背負っている。
つまり、絶対に失敗は許されないのだ。

声優に有名役者を使うのを批判する人もいるが
それだって作品のピーアールの一つなのだ。
何を言われたって興行として成功すればいい。
プロデューサーとは、そういう仕事なのだ。

そんなワケで鈴木Pの目論見通り
宮崎吾朗監督の「ゲド戦記」は
興行として大成功(興行収入76.5億円)を収めたのである。

…が、評価は最悪だった。

やっぱり親父と息子は違う。
誰もが落胆して、吾朗監督はこれっきりだろうと思っていた。

ところがである。
『コクリコ坂から』で彼は再び監督をすることになったのだ。



明日に続く。