最近、時間を持て余しているのに、何かしたくても気持ちが落ち着かなくて無駄に一日を過ごすことが多くなっています。
勝手なもので、忙しいとストレスが溜まって気持ちに余裕がなくなるってこぼす癖に、暇すぎても焦りとかイライラが溜まってきますよね。
元々瀬戸内の小さな町の生まれなので、ストレスたまったりくよくよしたりすると海を見に行ってました。
でも、こちらに来てからは海が近いけれど、意外と人が多い。
誰もいない海岸に行ってぼーっとしたいのだけどそれがかなわない。
そんな時、見つけたのがこちらのお店でした。
農業用のため池のほとりにあるカフェです。
隠れ家的なお店なのですが、結構お客さんが入ってる。
店内はアンティークなインテリアでめっちゃ落ち着く。
外側もとてもいいですよ、もちろん。
海のそばではないけど、水辺というのがいい。
しかも、店内からその水辺をぼんやり見ながらランチを食べられる。
本当は秘密にしときたいですが、そもそも割と混んでるようなので、すでに皆さんご存じのようで。
定番のカフェなのかもしれません。
海老芋を年末に見つけて思わず懐かしさで買ってしまった話をひとつ。
高校を卒業してすぐ就職した先が薬局の販売員。
家族経営の老舗の薬局で、とても厳しいところだった。
あいさつの仕方、掃除の仕方、休憩時間のお茶の入れ方、服のセンスまで何もかも、一挙手一投足について文句を言われ、注意され直すように指導された。
昼ご飯は外に出ないと息が詰まった。
高校は進学校で、私は大阪の専門学校に進学したいと思っていたが、親が病気になり手術や入院で多額の費用が掛かり、進学するにはお金が足りず、自分でバイトしながら通うかどうするかという話になった。結局、進学はあきらめた。
急遽、就職することとなった。その年就職するのは約300人中、わずか10人足らず。進学校だから仕方ない。
担任の先生が見つけてきてくれた先がその薬局だった。
卒業してすぐの春休み、平日の昼間にクラスの集まりがあった。
友人から連絡をもらったが、働き始めたばかりの私は休みを取ることができなかった。
集まるお店の名前と場所は教えてもらっていた。薬局からすぐの和食の店だった。
当日、『今日はみんな集まってるんだろうな~』とぼんやり思いながら、近くのパン屋で買ったサンドイッチを一人公園で食べて休憩を済ませた。
その数日後。
みんなが集まったであろう和食の店に行ってみた。夜がメインの居酒屋で、昼間も定食を数量限定でやっている店だった。
ひとりで入るには何となく勇気がいるようなたたずまいの店だった。サラリーマンのおじさんたちが夜は集まっていそうな店。
昼間も作業着のおじさんたちがカウンターに並んで定食を食べていた。
私のような子どもが一人で入ってきたことで、空気が一瞬変わったきがして緊張した。
おかみさんがカウンターに座るように促してくれたのでそこに座り、定食を頼んだ。
あさりの味噌汁がお腹に染み渡る。とてもおいしかった。
それから毎日その店に通った。
だんだんおかみさんとも親しくなり、お客が少ない時には仕込み済みの当日夜出す予定の料理を一品別におまけしてくれたりした。
そんなおまけの一品が海老芋の煮物。
定食だけでお腹いっぱいなのに、里芋より大きなお芋を見せてくれて、「海老芋っていうんよ、煮つけにしたらおいしいんよ。食べてみて。」と、出てきたのがこれ。
後にも先にもそれから海老芋には、お目にかかることがなかった。
本当に何十年ぶりかに目にしたので思わず買ってしまったというわけ。
周囲のみんなが大学や専門学校に進学する中、就職することしか選べなかった自分がなさけなく、また、世間知らずで就職先では怒られることばかりでつらく淋しい気持ちでいっぱいだった時に出会った定食屋のおかみさんのあたたかさ。
素朴なお芋の煮っころがしなんだけど…。
それに救われた思い出深い料理なんだよね。
今回はそんな海老芋、お正月のお雑煮にして、ひとり懐かしく思い出に浸りましたとさ。