「農ガール、農ライフ」垣谷美雨著
水沢久美子は派遣切りに遭った日、同棲相手から突然「結婚したい人がいるから出ていってくれ」と告げられる。仕事も家も彼氏も失った三十二歳の春。失意のどん底にいたとき偶然目にした「農業女子特集」というTV番組に釘付けになる。「農業だ!」運命を感じた久美子は早速、田舎に引っ越し農業大学へ入学することを決意。明るい農村ライフが待っていると信じていたが…!?
タイトルや紹介文から、きっと
「やっぱり農業って大変なんだなぁ」
と言う感想を抱く作品なんだろうなと思っていましたが、ちょっと違いました。
農業はもちろん大変なんだけど・・・それよりむしろ
1,天涯孤独の女性が生きていくこと
2,農地を借りること
の難しさをひしひしと感じました。
1について。
私は3人兄妹の末っ子で、従姉妹や叔父叔母姪っ子甥っ子なども結構いて。
そして、結婚していて子どももいて(頼りになるかは置いといて)。
それが私にとっては「当たり前」で、ありがたいとか全く思っていなかったけれど。
例えば本作の主人公のように、一人っ子で親を二人とも既に亡くし、親戚とも疎遠・・・となると。
まず、家を借りる時とかに保証人になってくれる人がいない。
(この主人公はそういう羽目にはなっていないけれど)病気やケガで入院する時に同意書にサインしてくれる人もいない。
血族、身内がいないというのは、こんなにも寄る辺ないものかと気づきました。
逆に言うと、身内と言うのは立派なセイフティーネットの役目を果たしているのでしょう。
頭の中でシミュレーションすると、例えば今わが家の生計を支えてくれている配偶者が突然死んだり浮気して家庭を捨てて蒸発したりしたら。
私はまず母に泣きつき、兄達にも頼ると思います。
そういう突発的で不幸な事態に対しても、相談できる・頼れる「対象」を私は持っている、と言うことです。
それは決して「当たり前」のことではなく、もし今その全てを失ったら・・・と思うと、足元の地面が突然危うい物に思えてきました。
誰が、何がなくてもつつがなく生きていくためには、どうしたらいいのだろう。
改めて考えてしまいます。
そして、私は時々、うちの次男より年下の障がい児のお子さんを持つ保護者さんから
「親が死んだ後のために、今何が出来るでしょうか?」
と相談を受けることがあります。
以前なら、成年後見制度や家族信託などの紹介と説明をしていたけれど、最近は
「親戚と仲良くすること」
を薦めています。
育成会のグループホームの利用者さんにも親御さんを亡くされた方が増えてきました。
そういう方々を見ていても、心から思います。
身内って大事
成年後見人とかの制度を活用することももちろん大切です。
だけれど、身内を超えられる存在はないなぁと言うのがリアルな実感です。
長年付き合っている身内と言うのは、些細なことから疎遠になったり、上手く行かなくなることもあるかも知れません。
だけれど、そんな時にも先のことを考え、ぐっと我慢して笑顔で付き合いを続けること。
その努力が、決意が、いざと言う時の、わが子のセイフティーネット作成に繋がるのではないかと思います。
2について。
農地を所有はしているけれど、自身が高齢だったり後継者がいなかったりして活用出来ていない農家さんはたくさんいるでしょう。
自治体規模でも農地バンクと言う制度を作り、農地を貸したい・売りたい人と、農地を借りたい・買いたい人のマッチングをしている所も多いです。
川西市にも「農地バンク」はあります。
だけれども実際は?
自分はもう耕せない、でも、先祖代々受け継いで来た大切な農地を、どこの馬の骨ともわからない他人には貸したくない、売りたくない。
そんな農家さんの気持ちもわからなくもありません。
そもそも日本人は土地に対する思い入れが強いですもんね。。。
主人公は地道な努力で、頑なな農家さんの心をほぐしていきます。
大事なことはメモを取る、そんな当たり前のことをキチンと積み重ね、成果に繋げていく主人公を私も見習いたいと思いました。
ラストは垣谷さんにありがちな、ちょっと無理やり感のあるハッピーエンドでした(*´Д`)。
全体的にはサクセスストーリー?
でも、細かく見ると「あぁそう言えば」と言う気づきを与えてくれる作品でした
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妖精のごとくかわいいわが家の子猫ース(飼い主バカ)。
ガシガシよじ登られたり、通りすがりに飛びつかれたり。。。
少し前に
↑「猫に噛まれて死にかけた」と言うこの記事を読んで以降、ちょっとドキドキしてます・・・( ゚Д゚)
他人事じゃないわぁ。。。
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