「なぁ、」
いったい何度頭の中で響くのだろうか
さっきの電話、切れる直前に聞こえた言葉
◆◇
「はよ、花井」
「おぉ 今日ははえーんだな」
「ちっとだけ早起きした」
まだ薄ぼんやりと明るいグラウンド
やっぱり誰よりも早く花井がいた
早起きは半分嘘だ
心臓がうるさくて、昨晩の続きが知りたくて
ただ眠れなかっただけ
「昨日遅くに電話ごめんな」
「お前、そんなこと気にするタイプだったか?」
「ひっでーなぁ」
わりぃわりぃ と頭を撫でられる
まるでペットみたいで、少し胸が痛んだ
「でさぁ、昨日最後になんて言おうとしたの?」
ほんの一瞬、花井がひきつったような顔をした
それだけで想像はついた、思い当たる節が明確にあるから
けれど、気づかないふり
「なんだっけか…わりぃ、多分どうでもいいこと」
「…そっか、ん わかった」
ゆっくりと花井の肩が下がっていく
表情からも緊張が消え、それは決心したものへと変わっていた
「……いや、ゴメン ちゃんと伝えないとダメな事、だ」
「そっか じゃぁ、なに?」
決まりが悪そうに、自分と目を合わせない
昨日と同じ、心臓が破裂しそうになっていた
それに、こういうときの花井は良いことを言ってくれない
「俺、コクられた」
「うん」
「んで 付き合うことに、した」
「へぇ、めでたいじゃん 応援する」
突然、何か大切なものを入れるところに、一気に絶望が流れ込む感覚
応援なんてできっこないのに
「ゴメンな」
「なに謝ってんの?好きなんでしょその子」
「いや、嫌いじゃないけど…これじゃ逃げた、みたいだよな」
「逃げてないよ、いつも真剣に考えて、ちゃんと道をみつけるんだ
花井はそういう人ってゲンミツにわかってっから」
謝罪の理由はきっと、1週間前のこと
返事はいつでもいい、と言った
無くてもいい、とも
その返事が今、自分にとって最悪な形で
でも、少し安心できる形で返ってきたのだ
花井が幸せなら、それが俺の幸せだから
ありきたりな、でも本気でそう思えること
「花井は、それで一番良かった?」
「後悔はしてねぇ」
「じゃぁそれが俺らとって最善の答えだろ」
ちわっ! グラウンドの入り口から聞こえた声
今年の4月から自分たちは先輩になったのだ
「みんな来るからこの話はおしまいなっ」
くるりと背を向けて、その場を離れた
◆◇
‐牛乳ってホントに効果あんのかな
ズズッと飲み尽くした音を鳴らした紙パックを投げ捨てた
狙ったわけでもなく、素直にゴミ箱に落ちる
屋上から見上げた空、どんよりとした雲が覆っていかにも降りそうだ
周りに甘いカップルさえもいないのは、こんな天気だからだろうか
「はやく雨こねーかな」
そうなれば紛れて泣いてしまえるのに
空がぼけていく
はやく降ってくれないと、もうこぼれてしまう
「風邪ひくぞ」
頭が、体が、もう覚えてしまった声
いつからいたのだろうか
「ひかねーよ 俺バカだもん」
ボタボタとコンクリートに染みを作ってしまった
「そんなカッコ悪いとこ、見せていいのか?」
「雨がわりい」
「…悪いのは、俺だろ」
「そんでも雨がわりい」
せめて次々とできる染みだけでも目立たなくして欲しかった
「慰めんなよ、花井」
そんな姿、カッコ悪すぎて見せられない
花井の前だからこそ、同情なんて要らないのだ
「じゃぁ、ずっとここにいる
お前が慰めろって言うまで」
「言えるわけないじゃん」
ポツンと頭に一滴
やっと空も泣き出したようだ
慰めは要らない
けれど、花井が隣からいなくならない方法ならば
なおさら、言えなくなった
「一度だけ抱き締めて」なんて
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なんだこりゃ
ダメだこりゃ
今回は田島も花井もあんまりハッピーエンドじゃない感じが書ければいいな と
ちなみに花井はすぐに別れるんで!!
昨日の晩にだいたい書いたけど、所々記憶に無かったw
むっちゃ久しぶりすぎてもう何がなんだかですが、
ちょびっとダケでもみなさんが楽しんでいただけたら、幸いです
これってつまり田→花?
じゃぁBye-byeノシ