死因が裁判の争点になる不思議

 

 

なぜ医療訴訟(裁判)の争点は、”死因”なんだろう?
手術中のミスで亡くなった場合、死因は手術手技ミスと断定できるが、多くの場合、死因は複合していると思う


それぞれの患者さんの年齢でも違うし、基礎疾患の状態によっても、医療ミス、事故を起こしたその後の状態は変わってくるはずだ。
同じ医療行為でも差が生まれるのは当然で、医師はその患者の状態を理解した上で1番望ましい治療するべきだ。

 

 

 同じ透析患者でも個々に違う

 

 

父が維持透析を受けられず、中4日で悪化、心肺停止に至ったことについて以前Xで、「地震で透析が受けられなくても患者は死んでない。2日ぐらい透析が遅れてもそれは死因じゃないだろ」と言う反論を読んだことがある。
医療を分かってないなーと思う。
 

若くて、体力があり、肺に疾患もない透析患者と、90才、肺炎、胸水がある(入院時CTで確認)コロナ陽性患者が同じ結果になるわけがない。
透析クリニックの医師は、状態悪化した場合を想定して医誠会病院に搬送願いをしているわけで、そういう何か起こる可能性を想定することが医師のするべき医療だと思う。

 

 

 高齢者に高度医療がいるのか論争

 

こう書くと、高齢者に高度医療は必要か?って論争を仕掛けてくる人がいるが、それは医療現場の最前線でする話しではない
現場の医師、看護師は目の前の患者を救うこと、一番良い治療、処置をすることに全力を尽くすべきで、高齢者に高度医療はいる、要らないは現場以外の場所でするべき議論だ。

 

 

 裁判で問題視するのは医師が責務を果たしたかどうか

 

 

 

このケースも、「手術と男性の死因との因果関係は不明」としつつも、「医療行為で膵管損傷や膵炎に至った部分には過失があった」と認め、賠償金を支払うことで合意したと言う。

内視鏡手術で膵管の壁を破り膵炎になったことがどれだけの影響をこの患者さんに与えたかなどどうやって検証する?
2ヶ月後にお亡くなりになっているけど、内視鏡手術の侵襲(過失)が患者さんの身体を弱らせ、死を早めた可能性はある。直接死因と言い切れなくても。

医師、看護師は、患者に合った医療を提供する責務がある。
それを果たさないで、死因のみで争う裁判に疑問しか感じない。
その時医師は責務を果たしたのか、看護師は責務を果たしたのかについて争うべきだと思う。