透析患者に病院が透析を実施しなかった裁判事例はない

 

 

父が医誠会病院で亡くなって以降、「透析患者に病院が透析をしなかった」と言う判例がないかネット検索をしたけれど、そんな判例は1例もなかった。

出てくるのは、

 

2021年7月、東京都公立福生(ふっさ)病院訴訟だが、父とはケースが違う。

 
医師が透析の必要性を説明、説得したにも関わらず患者が透析を拒否したが、透析中止3日で尿毒症の呼吸困難となり翌朝福生病院に入院。患者は夫に透析を続ける意思を示したが、夫が急性腹症で入院となりそのことを医師に伝えられなかった。結果、患者は全身状態悪化で死亡。

少なくとも透析患者は、”透析”が自分にどれだけ大切かを知っている
多くの透析患者は、週3回の透析で生命を維持していると理解し、生涯続けるしかないことも知っている。
もちろん父は90才だったが、そのことは理解していた。
だから、1/8の夜の私との電話で、「透析をせな、透析をせなアカン」と何度も訴えたのだと思う。

 

よって、透析患者に病院が透析をせず状態が悪化、死亡に至ったケースでの訴訟は初だと言える。

 

 

 

 医療従事者が考える裁判のポイント

 

  1. 透析患者に透析をしなかった
  2. 透析しない理由を患者、家族に説明していない(隠蔽)
  3. 半年後に突然出てきたCHDF書面を信じるなら、1/7の維持透析をせず、1/8にも維持透析をせず、1/9にCHDF(除水なし)を選択した理由は何か?(カルテに記入なし、患者、家族に説明がなし)

 

これを裁判長はどう判断するのか。

医学的には、”維持透析患者の透析を中止する=状態悪化、死”と言う考え方になるので、透析を止めると言う選択肢はなく、安全に透析する方法を検討する。

裁判長が”透析治療”をどこまで理解し、判断するのか、注目ポイントだと思う。
もしも裁判長が、透析の遅れは問題ではないなどと判断したとしたら、これは確実に医療と法の世界は乖離していると言える。