民事訴訟の現実を知って欲しい

 

下矢印 前回、ある方の民事訴訟について記事にしました 下矢印 

 

 

 

 

 

 

今回は5年半前、愛知医科大学病院で起きた医療事故についてご家族の了承を得て記事にします。

前回と同じく訴訟内容の一部”発端の医療事故”について簡単にまとめさせていただきました。

この事案は東海TV新聞で報道されました。
ご家族からその報道記事とTVニュースの添付も了承いただきましたので、

上記文章リンクと、記事下部にリンクします。

 

 

 【事例】

 

 
2018年、当時生後7ヶ月の男児。ウィルス性肺炎で入院。
治療目的で挿管(気管チューブを口から挿入)し呼吸管理をしていた。
事故が起こったのは看護師3人が患児の体位変換をしていた時だった。
挿管チューブが抜け、慌てた看護師が押し込み事なきを得たと思っていたが、食道挿管になったまま確認を怠り30分近い心停止の末に重度の低酸素性虚血性脳症に陥った
現在、民事訴訟中。

訴訟提起が遅れた理由は、医療事故が起きた病院にお子さんが入院していると言う複雑な状況だったから。だがこのまま時効を迎えれば、息子の医療事故はなかったことになると考え訴訟提起に踏み切られた。

 

事故当時、病院は医療事故を認めていた(監視カメラにもその時の映像記録がある)。だが、第一回口頭弁論で病院は、【看護師は気管から管が抜けた可能性を疑ったものの認識はしていなかった。挿管チューブを押し込んだ事実も認められない】と供述を変更、争う姿勢に転じた

 

この事案は、体位変換で男児の気管チューブが抜けた結果起こった事案としか考えられず、抜けた気管チューブを慌てて押し込んだ結果、食道挿管になったと言う”機能評価機構”公開の医療事故報告例「ヒヤリ・ハット事例」にもある事故例で、医師、看護師なら食道挿管の危険知識はあるはずである。

 

EtCO2(呼気終末二酸化炭素分圧)の数値確認
胸郭の上下確認
気管チューブの内側面のくもり(呼気で曇る)
胸部聴診で左右の呼吸音を確認
心窩部聴診で胃への空気流入音がないことを確認

 

上記確認をしていれば食道挿管に気づき、医療ミス、事故は防げる代表的なものと言ってもいい。

 

患児のご家族からは、常時連続的に測定されているEtCO2数値(「呼気終末二酸化炭素分圧」患者が換気を行えているかどうかを評価する指標)が体位変換直後に「0ゼロ」に消失、アラームが鳴っていたにも関わらず看護師たちは直ぐに医師を呼ばず、EtCO2が消失した事実を、のちに駆けつけた医師らに最後まで伝えなかったとお聞きしました。

 

 

 病院側の答弁書

 

第一回口頭弁論で病院側は、看護師は気管から管が抜けた可能性を疑ったものの、認識はしていなかった。管を押し込んだ事実も認められないと主張、争う姿勢を示したと言う。

 

まったくもって理解できない言い分である。
「管が抜けた可能性を疑った」のなら確認すれば食道挿管は発見できたはずである。
また、【挿管チューブを押し込んだ事実も認められない】とあるが、百歩譲って押し込んでいなかったとしても、食道挿管になっていた事実は変わらず、その結果、重度の低酸素性虚血性脳症を引き起こしたのだから押し込んだ事実のある、なしは関係するのか?


とにかく医学的根拠にも立たず、医師、看護師が必要な医療行為を行わなくても許されるような反論文に怒りを越えて、何を争おうとしているのかさえわからなくなる。

だがこれが医療訴訟の現実

 

 

 

 一日も早い患者側に立った結審を望む

 

ご家族はこの5年半、1日も欠かさずお子さんに会うため、ケアをするために病院に通う日々を送られています。
にも関わらず、医療事故は上記”食道挿管による低酸素性虚血性脳症”以外に、化学熱傷、数カ所の骨折、ドライヤーによる火傷・・・と相次いでおり、お話しを聞くだけでつらくなり、かける言葉もありませんでした。
それでもお母さまは前向きに頑張っておられます。
どうか、1日も早く患者側に立った判決が出るよう願うばかりです。

 

 

 

 東海テレビの報道は以下