作業自体よりも、コミュニケーションの方が難しいのだろう。仕事自体より人間関係が嫌になって辞める人は結構多い。いや、ほとんどそうではないのか。


Mくんは「ラバーカップ壊したので課長に目を剥いて怒られました」と言った。課長は「Mくんがラバーカップ壊しましたと涙目で来た」と言っていた。課長が怒ったから涙目になったのか、涙目だからさらにエスカレートしたのか、わからない。私なんかは、課長は修理はしても、自分でラバーカップで詰まりを取るなんてしないわけだから、壊したくらいで、そんな人に怒られたくないと思うのだが。


あとは任せたというものの、気になるので、帰る前に、私服に着替えたあとで、ちょっと様子を見に行ってみた。流れる水をじっと見ていると、よくわからなくなってくるのだ。だから一旦他を見てからの方がいいかと思って。まあ、誰もいないからいいだろう。男子トイレだけど。

そうそう、ラバーカップなら実はもう一個あったのだ。使いにくいのが。それを見たFくんに「なんだよ、ラバーカップあるじゃん」と言われたとか、聞き取れなかったが、ちょっとは悪いと思ってんのかと吐き捨てられたような気がするとか、それに負い目があった。というわけではない。多分。


そこで、引き上げるところだったFくんに会った…より正確に言うなら、帰る前にふらっとトイレに入ったところだった…。特に詰まる原因になる物体は見つからなかったこと、一階なので配管が横に走っており、構造上流れにくいかもしれないこと…なんかを聞いた。

男子トイレの中で。

私のことを女だと思ってないのはよく分かったが、話すのを止めてくれないだろうか。出ていきたいが、出ていくことも、扉を閉めておくことも出来ない。返事をしないわけにもいかない。そういえば、練習見に来んだか。まあ今日は天気が悪いからやめときんさいーなどと暢気に言うのが聞こえるがそれどころじゃない。誰か来たら私、変態扱いじゃないか?私は私服なんだぞ。


私はそんなんだが、Mくんは…。まあ、これはあとで聞いたのだが。


課長に説明されたところによると、配管の中にエアーが入っていると流れが悪くなるのそうだ。Mくんは課長に点検するように命じられた。女子トイレに入らなければならなかった。だが、女子トイレには電気が点いていた。誰か使用中の可能性がある。課長が様子を見に来たとき、Mくんはじっと待っていたそうだ。

トイレのそばには給湯室があって、ちょうどMさんが掃除中だった。そこで課長はMさんに、女子トイレが使用中かどうか確かめてくれと命じた。その横からMくんが「すいません、点検したいんですけど」と言ったので課長はMくんを叩いたらしい。横から口を出すな、よう言わんくせに。言うなら最初から言え、と。遠慮してMさんに頼めないんじゃなくて、頼むこと自体思い付かないらしい。