このテの本は、上野正彦氏の「死体は語る」から入ってしまったので、そういう展開を期待してしまったのです。ミステリーとか、サスペンスとかの、探偵役としての法医学というのでしょうか。まあ、いい意味で裏切られたような気がします。

処女かどうか鑑定するのが法医学の分野だったとは…無論、婚前交渉が一般的でない時代だったからですが。処女膜が云々という話になるわけですが、はっきり断定できるわけではないし、裂傷を縫い合わせてしまう医師もいると。結局、最後に誰が得をするの?(笑)

あと、特に親子鑑定ですが、DNA鑑定でなく、血液鑑定を中心にして話が進むのも、それくらい前のことというわけで。しかし、そんなのは枝葉末節なんでしょうね。

裁判が死因を決めてしまうところが恐ろしい。世間体のために死因をでっちあげるのと一緒で、死人に口無しなんですよね。何もかも、生きている者の都合になるわけです。思いこみがあると、冤罪事件をも引き起こしてしまうわけで。冒頭の、証人として出廷した際、宣誓の時に裁判長にうったえたところとか、国鉄のエラい人(オイ)の死因が、自殺か他殺か大学によって見解が分かれたところの記述がアツい気がしましたね。