母の思い出を小銭入れに
母の形見分けとして叔母たちにプレゼントしようと、母のブラウス等からミニトートバッグを作っていましたが、叔父たちにも何か渡したいと思って、小銭入れを作りました。
小銭入れは初めて作るので、形やサイズなど色々研究し、型紙を起こすまで、ちょっと大変でしたが、出来上がりを見て、かわいらしくできたなと思っています。
表地も裏地も、母が夏によく着ていたアッパッパー(夏用のラフなワンピース)です。どちらも、だれかの海外旅行のお土産のようで、背の低い母は、丈を短くして着ていました。
表地に使ったアロハのような南国の植物柄はムームーのようで、たぶんわたしがずいぶん以前にハワイに行った時のお土産のような気がします。
内側に使った黒地に白いバラの花柄は、つるつるしたポリエステルのようなしっかりした生地なので、小銭を入れて擦れても大丈夫かなと思います。
開閉が楽なようにスナップボタンをつけ、小銭がこぼれ落ちないように、全開にはなりませんが、中身が見えやすいよう工夫しました。
わたしの母は、8人兄弟の上から2番目でした。母の実家も寺で、祖母が忙しくしていたので、年の離れた弟や妹の面倒を母がみていたそうです。「ねえちゃん、ねえちゃん」と、とても慕われていました。
わたしが小学生ぐらいの頃、母とテレビの歌番組をみていたときです。小柳ルミ子さんの「瀬戸の花嫁」が掛かった時、ある歌詞のところで、ふっと母が微笑みました。
‥幼い弟、行くなと泣いた…
「ねえちゃん、行ったらいやや、て、あの子も言うてんで」と、母がわたしに言うともなしにつぶやいていました。この歌を聞くと、母は自分がお嫁に行く時に叔父が泣いたことを思い出すようでした。
スラッと背が高く快活な叔父が、今の自分より少し小さいくらいの頃、母にそんなこと言うたのか…と、子供心にちょっと切なくなりました。
アロハ柄の小銭入れを見つめていたら、なんとなくハワイアンミュージックが頭の中を流れたような気がし、わたしの兄の結婚式の披露宴のことが思い出され…そうやあの時、叔父さん、加山雄三さんの「お嫁においで」を歌ってはったな…
小さい小銭入れですがポケットに入れて、叔父さんの散歩のお供にしてもらえたら、うれしいなと思います。
by naggy