【野菜のイラスト】吹田くわい | naggy(なぎぃ)の木

【野菜のイラスト】吹田くわい

一年の内で、ほんのわずかの期間だけ。
12月も下旬になった頃に、八百屋さんの店先に並ぶ野菜があります。

それが、慈姑(くわい)。

ピンと伸びた芽が、角が一本の小鬼のようなユーモラスな形。
おせち料理の時にしか見かけないので、なかなか馴染みが薄いなぁと
考えていて、ふと思い出したことが…

子どもの頃、母の実家に遊びにいった時に、
「ハイ、どうぞ」と叔母が食卓に、揚げ物を出してくれました。
薄く輪切りにした形、お芋かな?おいしいな♪
この野菜、何かなぁと思って尋ねてみたら、

「コレね、くわい。」

夏に来た時、庭先のメダカを飼っている古い火鉢で見た、
鮮やかなグリーンの矢印の様な形の葉をした水生植物。
きれいな葉っぱねと叔母さんに話したら、

「アレもね、くわい。」

蓮根が名産というだけあって、母の実家辺りは、くわいもよく育つ土地柄。
いろんな活用法があるんだな、と子供心に感じた記憶。

そう言えば、あの葉っぱ、私の実家の睡蓮鉢にもあったような…

自分が案外知らないだけで、思わぬ程身近にあったくわい。
ポテトならぬクワイチップス、記憶を頼りに、一度挑戦してみようかな…☆


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【吹田慈姑/すいたくわい】

鬼ごっこ
「オレばっかり、鬼イヤや」

何万年も水辺に自生していたオモダカが、淀川や大和川が運んだ
肥沃な土地で次第に進化し、地下の塊茎となりました。
これが吹田慈姑です。豊臣秀吉が好み、京都の荘園で栽培させた
そう。江戸時代には吹田村で栽培され、格別に美味しいクワイとし
て珍重され、「献上駕篭」で運んで京都御所に献上されたほど。
大田南畝(蜀山人)が大阪の美味しいものとして
「思い出る鱧の骨きりすり流し吹田くわいに天王寺蕪」という狂歌を
残しています。
近年の宅地開発の影響で水田が減り、吹田慈姑も姿を消しましたが、
保存会の人々の活動により、少しずつ復活しています。
大切に守られている「なにわの伝統野菜」です。

栽培地:吹田市
収穫時期:12月
特徴:小型品種。身質が柔らかくかすかな苦みと甘みを持つ。

essay & illustration  by naggy

<参考>
大阪市ホームページ 『大阪市なにわの伝統野菜』
大阪府ホームページ 『なにわの伝統野菜』
大阪府環境農林水産総合研究所 食の安全研究部ホームページ
大阪府泉州農と緑の総合事務所ホームページ
近畿農政局ホームページ
まるごと泉州ホームページ
JA全農青果センター株式会社ホームページ
『なにわ野菜-割烹指南-』 上野修三 著
『地方野菜大全』 タキイ種苗(株)出版部 編
『からだにおいしい野菜便利帳 伝統野菜・全国名物マップ』 高橋書店編集部 編