風 体験
初めての時は、たぶん今から10年ほど前、
会社の居酒屋飲み会の後はだいたい、二次会の
カラオケに向かうメンバーと、もうひとつは
別の通りに消える小グループ。今まで数回あった会社の飲み会では、僕は前者のグループと共に、歌を歌いに行っていた。
でも、その日は 何の出来心か、後者のグループに混ざりたかった。
一次会を終えたみんなが、暗黙の了解でなんとなく二つのグループに別れようとしているところ、自分は、さりげなくカラオケじゃない方へと身を傾け、自然に混ざっていた
「お、今日はおまえも行くのか?」見たいな事を言われ
「よし、じゃあ一緒に行こう!」って
上司に誘われ、風 に連れていかれる部下と言う設定だが、
本当は自分から望んで、ついて行った。
酔っ払って、懐が緩くなった上司が、
「よーし今日は、俺のおごりだ!
」って言ってもらい、自分も酔っ払ってたせいか、そんな援助を断るわけもなく
「ゴチになります
」ってヘラヘラ付いて行った。風 ってのが、どんなもんなのか、体験して見たかったって言うのが本音のところだった。
意気込んで一人でいくのもアレだし、酔った勢いでノリよく行った方が、いいだろう。
ネット情報や話には聞いてて、だいたいどんなところでどんなことするのかは想像付いてたが、
先ずは、身を持って体験しないことには、始まらんだろう。
上司と数人のグループで
路上で客引きする、黒服と、ごそごそ話す上司。
そして、薄暗い通りの奥にある、何屋かよく分からない建物へ入る。
僕もそれに同行した。
ドアを開けると、ちっちゃなバーカウンターがあって、そこで飲み物をもらう。
さっきまで、しこたま飲んでたので、ウーロン茶を頼んだ。
10分ほどまたされた後、二階へ案内された。
音楽が流れ、カーテンで仕切られたベッド+@くらいのスペース。
暗い
目が慣れてくれば、いろいろ見えてくる程度の明るさだった。
数分したら、相手の女の子がなんかいろいろ入ったカゴを持ってやってきた。
暗くてよく分からんかったが、歳は近そうだ。ちょっと下かなあ、と思った。
短パンにキャミ姿
顔もはっきりとは見えないが、あまりタイプじゃないように見えた。
さっきまでの酒の酔いと、変な緊張がはしる
「お連れさんも、いっしょ? 飲み帰り?」
「職場の飲み会で…」
「楽にして」
「こういうとこ、初めてで…」
「そっかー、私も上手じゃないと思うけど、がんばる!」
「初めてだと、ダメな人って、けっこういるんだよねー」
明らかに、緊張して固くなってる僕を、察したのだろう
少し人見知りするので、初対面で、あれやこれや気さくに話せるタイプじゃなかったし、
いかんせん、場所が場所だけに、そんなに会話が弾む訳もなく。
おそらく、彼女の方がもっとやりにくかっただろうと思う。
彼女に促され、薄いキャミを脱がした。
ブラも外していいと言うので、後ろのホックをぎこちない手つきで外す。
下は脱がないし、タッチもキスもNG(もちろん本番も)だと言う。
すっかり、全部脱いで、シャワー浴びて、ベッドで絡み合うもんだと思ってた。
(内心、なんだよ~、って)
実のところは、その店のシステムをよく知らなかった。
後で知ったのは「Piンサロ」ってやつ。
僕が思ってたのは「Heルス」だと。
向かいあって座った状態で、抱き合い、
彼女に手をとられながら、軽く胸を触る。
全体にぽっちゃりしてて、柔らかい体。胸はBってところかな
「じゃ、下 脱ぎましょうか。全部脱いでもいいけど、着るの面倒ならずらすだけでいいよ」
着てたTシャツをまくり上げ、ふくらはぎまで履いてたジーンズとパンツをずらした、何とも中途半端な格好でベッドに横にされる。
消毒液見たいな冷たい液と共に、僕のアレはおしぼりで拭かれた。
これからどうなってしまうのか?
興味本位で来ちゃったものの、ほんとによかったのかなあ

気の効いた会話もないまま、沈黙が僕の緊張と不安をあおる。
彼女の手に握られた、柔らかなアレは、依然 元気になる様子もなく…
ペースのあがるその手の動きにも、
見ず知らずの他人に、秘部をニギニギされているだけで、気持ちいとかいう感じは一切なく、変な感触だった。
ほどなくして、彼女は口に切り替えた。
温かく、柔らかい感触は直接感じられたが、それ以上、性的興奮を感じることはなかった。
攻めが足りない?と思ったのか、口と添えた手の動きが早まる。
でも、硬直した状態ではないところを、いくら攻められても逆効果
時間にして、どれくらいのだったのだろう?
10分、15分位に思った。
実際は、あれこれ奮闘してようで、制限時間のほとんどが過ぎてしまっていた
「わたしじゃダメ?」諦めた彼女がそう言う。
そんなことない。リラックスできてないのは自分だし、お酒もだいぶ入ってて、下半身の感覚も鈍ってるのは確か
「ごめん、そんなんじゃなくて、初めてでしょ。やっぱ緊張しちゃって…」
「私こそ、下手だったから、お役に立てなくってごめんなさい」
お互い謝るのもおかしな話だが、こりゃダメだ~って彼女も思ったんでしょう。
残り、数分はキスとハグで過ごし、
ピピピピピピピ・・・・・・・・

タイマーの音
服を戻し、カーテンを開け、廊下に出ると
一足先に終った上司とはち合わせた
「おぉ、どうだった?」
「まずまずでしたよ」 (結局不発だったのに)
「そっか、うちは可愛くてサービスもよかったぞ。すぐイカされたから、がんばって二回したぞっ」
うれしそうに報告してくれた。
僕が、立ち上がらない息子の世話をしている間に、二回ですか。お盛んだこと!
別々にタクシーに乗り、一人家に帰る。
当時会社の独身寮だったので、狭いワンルーム。
シングルベッドに寝転がると、さっきの回想が
なんだろう 風俗って…
きっと初めての時なんてこんなもんさ、
お酒も入りすぎてたから、ダメだったんだろう
でも
なんだろう この敗北感
こんなことのために1万もかかるのか? バカバカしい
僕の 風 の価値観は この日の出来事で決まった。
トラウマ って言う奴か?
それから、約10年 一度も 風 へ行くことはなかった。
すべてノンフィクションです
