パロマ事故やシュレッダー事故などを受けて、経済産業省製品安全課は、企業に対して事故情報の同省への報告を義務付ける「事故情報通知法」とでもいうべき法案作成に入った。9月26日から始まる臨時国会に内閣提出法案として審議される見込み。
 これまで数々の事件で、死者が出るまで事故情報が隠される事態が続いている。ながつま昭は、事故につながる危険情報があった場合は、すみやかに監督官庁に報告すると同時に世間にも公表を義務付ける「危険情報公表法」(正式名称:消費生活用製品等及び特定生活関連物品に係わる危険情報の提供の促進等に関する法律案)を策定し、民主党として議員立法で3回国会に提出した。しかし、与党と省庁の反対でいずれも成立をしていない。
 今回、政府が提出する法案は、一部公表を義務付ける案も検討されているが、あくまで役所への報告だけを義務付ける法案。現在でも経済産業省は、企業から受けた事故情報をメーカー名を伏せて発表するケースが多く、本当に世間に周知されるのか疑問が残る。
 しかも、政府の法案は、経済産業省所管の製品に限定されている。民主党の危険情報公表法では、経済産業省所管以外の例えばエレベーター、食品、薬品、公園の遊具など省庁横断的に多くの品目を対象としている。これらの問題を提起して、民主党案を成立させるように取り組みます。
   
 政府内での危険情報の共有も課題
 また、ながつま昭が指摘した、政府の危険情報共有の検討も始まった。全国約400ヶ所にある自治体の消費生活センターが受け付けた製品やサービスの苦情をオンラインで結ぶ通称パイオネット。内閣府所管の国民生活センターが運営する。現在は、他省庁とオンラインを結んでおらず、国民生活センターは事故情報を知っていても、その事故を起こした製品やサービスの監督官庁が知らないという問題が発生していた。
 このパイオネットを経済産業省や警察庁ともオンラインで結ぶ検討をする会議の設置が決まった。今年、9月末に内閣府国民生活局が「苦情相談情報の効果的活用のための検討会議」(仮称)の初会合を開く。省益や縦割り行政を超えて、危険情報を共有してほしい。十分な措置がなされるか監視して参ります。
 さらに経済産業省所管の製品の事故情報を分析する機関、独立行政法人・製品評価技術基盤機構(本部東京、通称NITE)に今年9月7日付けで事故リスク情報分析室(所在地大阪)を新設した。これまではパロマの事故でも後手後手に回ったように、製品事故の情報が入ってきても、同一型番の製品だけを対象に集計分析してきた。今後は、これを事故種類ごとにメーカー横断的に情報収集と分析を加える。本来、当たり前のことだと思うが、これが出来ていなかった。
 やっと政府の取り組みは始まったばかり。しかし、これまで同様、業界に気兼ねして歩みを止めては困る。先進国で日本ほど消費者のための行政がお粗末な国は無い。ながつま昭は、消費者の立場に立って、危険情報の公表義務化を実現する取り組みを続けます。